【脱・登山初心者】ナイトハイク(夜間登山)を極めろ!!メリットとデメリット

今回はかなり物議を醸す内容である(笑).最近の私の主なスタイルは日帰り縦走(ロングトレイル)が多いのだが,その際どうしてもナイトハイクをする必要がある.日中の登山に比べるとナイトハイクは確かに危険かもしれないが必要な知識を身に付けるだけでその危険度はかなり下げることができる.

そうしたナイトハイクの知識や経験は登山を始め,山に携わる中・上級者にとって暗黙の了解になっていることも多く,雑誌やネットの海にそうしたノウハウを見ることはなかなか稀だ.そこで忘備録的に私が得た知識や経験を公開しておこうと思う.

越後駒ケ岳にて(9月)

目次

ナイトハイクの必携装備

ナイトハイクだからと言っても特別何かが必要になる訳ではない.これらは日中の登山でも必要になってくるのでどんな山行でも携帯するようにしよう.また夜間は冷えるので昼間に比べると多少厚着でもいいかもしれない.

ヘッドライト

硫黄岳にて(10月)

ヘッドライトはもはや言わずもがなでしょう.400㏐以上のものがルートファインディングが必要な状況でも安心して歩けると思う.それよりも重要なのが持続時間だ.個人的には持続時間を意識して踏み跡が明瞭なら100㏐でセーブしながら歩くことが多い.

さらに手で持つタイプの懐中電灯やランタンは転んだ時に危ないので持たないようにしています(笑).アウトドア各社性能のいいヘッドライトを出ているので一つで事足りるようなものを用意するべきだろう.さらに中国製の謎ヘッドライトをアマゾンなんかで買うのだけは辞めましょう(笑).事実明るさは登山用のものと比べてほぼ分からないものが多いのだが,多くの場合持続時間が全然違ってくる.

当然山行前には電池の残量チェックもお忘れなく.詳細は以下の記事で紹介しています.

【小技】テスターを買え!!~山行前の電池管理=命の管理~

GPSアプリ(地図&コンパス)

夜間はこれがめちゃくちゃ便利.地図やコンパスももちろん必要だが,最近のGPSアプリは圧倒的に優秀だと思う.登山黎明期であれば怒られたかもしれないが,文明が発達した現代でこれを利用しない手はない.

ただGPSアプリでも場所によっては(機種に依らず)誤差が大きいと50mくらいは普通にズレるのであまり信用せず大まかな位置確認程度に使うのが無難でしょう.もちろん日中でのルートファインディングや大まかな地図読み(ルートがどういう谷や尾根にあるか判断できる)ができているという前提の話だ.

さらに標高から現在地を追い込むというのも使えると思う.ただこれができないとGPSアプリがあっても確実に迷います…

予備の電池&モバイルバッテリー

これもかなり重要です!!予備の電池の代わりに予備のヘッドライトを用意するのもいいかも.モバイルバッテリーも言わずもがな携帯用のGPSアプリ対策の為のもの.

山に入る期間にも依るが,最低でも10000mA以上のモノは欲しい.モバイルバッテリーも怪しい中華製品は買わずにAnkerやcheeroといった有名なものにしておくと長く使えて余計な銭を失わずに済みます.

熊鈴&熊スプレー

複数人で登る際は会話があるので付けませんがソロで入山する際には付けておくのが無難でしょう.特に信越や東北地方,北海度は必携ですね.熊密度の濃い山域では熊スプレーも携帯することも良くあります.安心感が段違いなので怖がりの人は山域に問わずオススメかもしれません(笑)

かなり高額なお守りだ(笑)

ナイトハイクの計画と注意点

ナイトハイクをする人(山行に組み込む人)は常日頃から恐らく毎日息をするように山の情報を集めています.

ルートファインディングをあまりしたことがない人や,常に人に連れて行ってもらっている人はまずは日中にソロで動けるようになってからナイトハイクに挑戦するべきだと思う.

山の計画の立て方の記事はこちら

時間帯

まずは夜明け前の1時間から登り始めることに慣れよう.山域を問わず,夜明け1時間前であればほんのり明るく,精神的にもかなり安心できます.

しかし比較的山に慣れた人であれば早出早立は日常的な行為のはず?なのでナイトハイクは単にその延長線とも考えることもできます(笑).

ちなみに私は大幅にリスクを避けるため,基本的に下りはナイトハイクしないをモットーに掲げています.特に初心者は夕方発のナイトハイクは下りが真っ暗になるのでオススメしません

越前三ノ峰にて(10月)

山の選び方

ナイトハイクは自分自身が歩き慣れた山という基準で選ぶより,ネット上のログを積極的に活用して普段から入山者の多い山を選ぶべきでしょう.

理由は簡単.登山道が単純明快であるから.

いくら自分が慣れ親しんだ山でも踏み跡の薄い地元の低山や里山は全くオススメしません.むしろそういう山の方が難しかったりします.また最初は岩場や岩稜の通過はナイトハイクでは極力避けるべきでしょう.

石鎚山系,東黒森にて(5月)

現在地の確認&ルートファインディング

現在地の確認には細心の注意を払います.

日中では何となくあるいていても迷わなかったりしますが,ナイトハイクでは自分が歩いている地形を常に観察し,赤テープ等の目印や標識を見逃さないよう意識を張り巡らせます.

気を抜くとすぐにルートを外すので注意しましょう(笑)

歩き慣れた人であればルートをは外した瞬間,違和感(遮る倒木や枝が多い・地面がふかふかetc)に気付けますが慣れないとそうもいかないでしょう.さらに夜の岩場や積雪期は現在地の確認がかなり難しいです…

残雪期のナイトハイク
別山にて(5月)
残雪期はルート上でも枝や草が雪の重みで遮っていたりする.

ナイトハイクのメリット

可能性が無限大

これに尽きますね(笑)

夜間に登って夜間に降りてくる.

いわゆる一般的なナイトハイクはこういうイメージかもしれません.

もちろん闇夜に瞬く星空や街の光を眺めながら歩くことも醍醐味ですが,私は「稜線で朝を迎える」ため,「一日で長距離を歩く」ためにナイトハイクを敢行しています.

しかも夏山であれば日中になってモクモクと湧いてくるガスも上手くいなすことができます.

例えば下のような日帰りの長距離の山行であっても下山時刻に余裕を持って歩くことができます.

合計距離: 27060 m
最高点の標高: 2920 m
最低点の標高: 1216 m
累積標高(上り): 2583 m
累積標高(下り): -2796 m
つまらん登り区間を闇の中歩くと一瞬に感じるのもまた良い.
日の出がちょうど稜線で見れるタイミングで出発でしたからこその景色!!

テント泊VSナイトハイク

そう思うとテントって必須でしょうか??

同じ距離を歩く際,テント泊縦走を思い描くのであればテントは必要不可欠な装備ですが,ナイトハイクを取り入れた山行であれば必須とも言い切れません.

世の中には軽量なテントも数多く存在しますがどんなテントであろうが相当重たいです(笑)

私はいくら持ってるテント泊装備がUL(ウルトラライト)だとしても億劫になります.

しかしナイトハイクをすることで荷物の制約から解放され,一般的にテント泊でないと行けない山,見れない景色を夜中から登り始めることで同じ喜びを享受できることもあります.

極端に言えば荷物の軽さを取るか山での時間を大切にするかの違いでしょう.

でも休みの土日に予定していた山が2日間晴れて最高!!なんてことは実は少ないんですよ…

涼しい

夏であれば涼しい夜に登り区間を終わらせることで地獄の暑さの中体力を使わずに済みます(笑)

しかし当然ながら冬は地獄の極寒なので注意が必要(笑)

ナイトハイクのデメリット

徹夜での登山は危ないししんどい

逆にナイトハイクをしないと一日では登れない山は標高の高い山の場合がほとんどです.金曜日,仕事や授業終わりに夜通しで登山口へと向かい,そのまま出発というパターンも少なくありません.徹夜での登山は集中力も下がるので時間があれば1時間でも仮眠は取って登り始めるようにしましょう(笑)

悪沢岳にて(11月)
闇夜の林道をヘッドライトの光を頼りに進む

ナイトハイク自体はそんなに面白くない

これを言ってしまうとお終いですが,ナイトハイクそのものはほとんど面白くないです.

ナイトハイクでよく登られる有名な山は樹木の少ない展望が効く山や街の光が見える山がほとんどですが,アルプスでアプローチに長時間闇の林道を歩くだとかは全く楽しくないです(笑)

こういうナイトハイク向きの山以外を歩くのは多分変態しかいない(笑)
大文字山より京都市街を見下ろす(5月)

野生動物と遭遇する危険

シカにはしょっちゅう遭います(笑).

暗闇で星か街の光のような薄暗い2つの点がうごめいていると大抵シカです.シカであれば双方が驚くだけで済みますが熊やら猪には遭いたくもないものです…

怖い?!

うーん…こればっかりは私には分かりません(笑)

怖い思いまでして山に入る必要はないでしょう(笑)

ルートを外すかもしれない怖さだとか説明のできるもには納得ですが得体の知れないものに対してはどうしようもないですね…

ノウハウ
とらべらー