【レビュー】トレントフライヤーがレインウェアの終着点かもしれない件【mont-bell】

今年で山歴9年目となる私はこの度3代目のレインウェアにモンベルのトレントフライヤーをお迎えした.2代目は同じくモンベルのストームクルーザーを計5年間使用したが流石にレインとしての性能が限界を迎えたのだ.

登山を始めるにあたってまず必要となるのがレインウェアであるが,値段も性能も様々.次はモンベル以外で…とも思ったが各社ストームクルーザー相当(以上)の性能となると4万円くらいはする.そもそもグリーンシーズンはあえて雨に突っ込む山行は少ない為レインウェアの仕様頻度はそう高くない.

となると,やはり値段と性能のバランスが最高なモンベルしかないという訳だ.

目次

スペックとサイズ感

スペック

トレントフライヤージャケット

・サイズ:S~XL
・カラー:2022年は4色展開
・重量:194g(実測198.5g)
・収納サイズ:7×7×15cm
・価格:25080円(税込み)
・素材:ゴアテックス パックライトプラス
・耐水圧:50000mm以上
・透湿性:44000g/㎡・24h

モンベル公式HP

トレントフライヤージャケットはモンベルのレインウェアの中でもハイエンドに位置する優秀な性能を持っている.ベンチマークとされるモンベルのストームクルーザーは3レイヤーだがトレントフライヤーは2レイヤー.裏地が排除され,さらにポケットも最小限の胸ポケットのみとすることで軽量化を図っている.

さらに近年モンベルのレインウェアに導入された「K-Monoカット」という裁断により動きやすさが格段に向上している.

サイズ感

身長172cm,体重58kg痩せ型の私が購入したのはSサイズだ.先代のストームクルーザーでは中に色々着込むことを見越してMサイズを購入したが若干大きく,風でバタつくことのデメリットの方が大きく今回体にフィットしたSサイズとした.

基本的にモンベルは標準体型を基準として裁断しているので痩せ型の方であればワンサイズ下げても問題ないことが多い.サイズ違いでかなり着心地も異なるので試着はした方がいいだろう.

各部詳細

それではモンベルのトレントフライヤージャケットの各部をチェックしていこう.

大きな特徴はまずポケットが最低限の胸ポケットのみとなっていることだろう.一般的なレインウェアは左右に大きなポケットが配されることが多いが,レインウェアのポケットは長時間風雨に晒されると浸水はどうしても避けられない.余計なトラブルを回避する,軽量化に特化する,という差別化で胸ポケットのみにしたのはナイスだと思う.

ポケットの大きさはスマホが余裕で入る.財布や鍵は少なくともここには入れないし後はちょっとした行動食も入るので十分だ.

またジッパーは止水ジッパーとなっている為フラップがなく快適だ.ただ滑りが悪いのでシリコンスプレーを吹いてもいいかもしれない.

※ここのポケットにスマホを入れる場合はジップロック等で対策が必要なので注意しよう.

裏地はこんな感じ.メンブレンが剥き出しとなっているように見えるが特殊な微粒子をコーティングしているらしい.素肌と接しても意外とべたつく感じもなくしなやかで着ていて非常に快適だ.

シームテープにも進化が感じられた.以前のストームクルーザーよりも剝離しにくそうに見える.しかしシームテープの耐久性は使ってみないと分からないのでまた使いこんでから追記しようと思う.

頭回りはこんな感じ.フードは各部パーツでぴったりフィットさせることができる.首回りもしっかりガードできる高さがあるのでお手頃な雪山ならトレントフライヤーでも行けてしまうだろう.

裾もゴムで絞れるようになっている.これは風の侵入を防ぐことができるため結構重要だったりする.廉価版のレインウェアにはコストダウンの為省略されていることが多い.

袖もベルクロで絞ることができるようになっている.テムレスくらいならレインウェアの内側に入れることも容易い.

そして何と言っても嬉しいのがこの脇の大きなベンチレーションだ.ジッパーが滑らかでないので操作こそしにくいが,このベンチレーションがあるかないかでレインウェアの性能は天と地の差が出てくる.ベンチレーションがないストームクルーザーでは割とすぐに蒸れていたのが,トレントフライヤーに乗り換えた途端ある程度の強度の運動なら蒸れずに快適になった.ベンチレーションなくしてこの快適さは手に入れられなかっただろう.

さらに体温調整もしやすくなった.今までなら暑くて脱いでいたようなコンディションでも脇のベンチレーションで空冷できるので服の脱ぎ着が少なくなり山中での余計な作業が簡略化することができた.

いや~素晴らしい.

そして重量も実測198.5gと軽量.当然より軽量なレインウェアも存在するがマルチに使うには素材の選定も含めてこれくらいが落としどころだと思う.(あまり生地が薄いとすぐに破れる恐れが出てくるので…)

使用感

すごかった所

レインウェアの性能としては文句なしだ.南アルプスの易老岳では2時間土砂降りの雨に打たれながら登ったが浸水もなく,さらにベンチレーションのお陰で快適だった.しかも驚くべきは726mUP/hという高強度で山を登ってもレインウェア内がビチャビチャにならなかったということだ.本当に驚いた.

ここまで蒸れないとなると,ウィンドシェルやソフトシェルの代わりを果たせる局面が増えるので荷物の大幅な削減にも貢献してくれるだろう.

※撥水性自体は初回はバチバチに効いているが数回使うと落ちてくるので手入れが必須なのと,汗等で汚れたらその都度洗濯するというのはどの製品も共通だ.

易老岳にて(7月)

イマイチなところ

どんな製品にも不得手な項目はあるものだが,トレントフライヤーにおいては「擦れ」が苦手と言えるだろう.軽量化に特化している分生地が薄いのでやはり藪や岩では少し心もとない感じがする.基本的には一般登山道で使うことに留めておいた方がいいだろう.

こういう局面でガシガシ使うにはやはりストームクルーザーが一枚上手だったように思う.けど藪にしても岩にしても沢にしても服がズタボロになる場所に行くことが分かっている場合はどうなっても良いような廉価版ワークマンのレインウェアなんかと使い分けたら解決できるだろう.

茶臼岳にて(7月)
ジャンダルムにて(8月)

まとめ

トレントフライヤージャケットは総じて完成度が高いレインウェアだと感じた.何よりTJAR(トランスジャパンアルプスレース)の2022年大会においてはモンベルのレインウェアの使用率は非常に高く,トレントフライヤーとピークドライシェルのどちらかと言っても過言ではなかった.ちなみに他に使われていた製品はモンベルのストームクルーザー,山と道のUL All-weather Jacket,TNFのハイパーエアーGTXフーディが挙げられる.過酷なレースにおいても選定されるような製品なので安心して使ってもらいたい.

終わり

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