【レビュー】モンベルのストームクルーザーを2年間酷使してみて【mont-bell】

ストームクルーザー

日本国内が誇る一大アウトドアメーカーのモンベル.そんなモンベルのレインウェアのフラグシップモデル,ストームクルーザー(通称ストクル)を購入して二年が経ったので今一度その性能について評価してみる.

ストームクルーザー購入に至るまで

モンベルのカタログを眺めていると平均重量が254gのストームクルーザーとさらに軽量な179gのトレントフライヤーというモデルで迷うこととなる.トレントフライヤーは二層構造を採用することで透湿性と携帯性を高めているが,強度が弱いという弱点がある.一方,三層構造のストクルは生地が厚く,透湿性がトレントフライヤーに劣るが,実用に足る強度を備えている.ULの製品がチヤホヤされる昨今だが,生地が破れやすい可能性を秘めている点を考慮するとトレントフライヤーはガシガシ使えるレインウェアとは言えなかったため私はストクルを購入することにした.

防風性

ストクルの防風性は高い.2018年と2019年の夏には長期のキャンプツーリングを行った.特に,肌寒い日が多い北海道や本州の高原地帯では風を通すウェアでは立ち行かなかったので常にストクルを着てバイクに乗っていた.生地自体に中綿が入っている訳ではないので,さすがにTシャツ1枚の上にストクルを着るだけでは寒かったが,ミドルウェアを着ると問題なくウインドブレーカーとして機能してくれた.荷物の制約が多い局面では重宝するのは間違いない.しかし,防風性だけで言えばワークマンで手に入るフィールドコアで十分なことは確かである…

オロロンライン
緯度の高い北海道では夏も肌寒い.オロロンラインを北上する.
気温が10℃程でも時速36km/hだと風速10m/sの風を受けているのと同じこと.
体感気温は0℃程になる.(体感気温は風速1m/sで1℃下がると言われる.)

防水性

さすがゴアテックス.言うまでもなく,しっかり雨から守ってくれる.これを議論しなければならないようなものはレインウェアとは言えない…

しかしジャケットの正面についている大きなポケットは完全防水ではないことにも注意したい.私は割と気にせずケータイなんかを入れているが,行動していて気が付けば軽く濡れていることがよくある.恐らくウェアの外に出ようとした水蒸気がポケット内でモノに接触して凝結し,水になってしまったと思われる.濡らしたくないものはジャケットのポケットには入れないようにしよう!

また,お尻に負荷のかかるバイクやロードバイクに乗って長時間(8時間とか…)雨の中移動するようなアホみたいな環境では水が浸みてくることもある.これはパンツの縫い目から浸みこんできていると思われる.(水が垂れて入ってきたらすぐに分かる…)

一応シームテープで防水処理されてはいるが,こういった環境までは想定されていないようだ.生地自体の耐水圧50000mmが保証されていても,シームテープの耐水圧はかなり怪しい…

防水性とは関係がないが,長時間の雨の中のツーリングではパンツのフロントジッパーから雨が浸入してくることも多かった.撥水ジッパーではなく防水ジッパーで製品を作ってもらいたいところだ…(強度的に問題があるのかな?) パンツの着脱が容易であるのはありがたいが,濡れてしまうと元も子もないので今度買うときはフロントジッパーがないものを買おう…ちなみにこの問題はパンツが下にずれてくることで起こるのでその都度パンツをジャケットで守られた領域まで引き上げることである程度解決する.(対処療法やん…)

けれどよくよく考えてみるとストクルを着てバイクや自転車に乗ることは想定されていないと思うと仕方がないことなのかも…

モンベルのストームクルーザー

透湿性

正直,雨の降る夏場に息が切れるくらい全力で運動するとストームクルーザーは蒸れてしまう.この問題はベンチレーションがあれば解決できるように思う…そもそも転んで危ないし,雨の中全力で運動することを想定されていないのかもしれない…実際モンベルのサイクリング用のレインウェアではベンチレーションが採用されている.

しかしながら息が切れる手前で体力をセーブすることが普通の山歩きでは,ストクルは全く問題のない透湿性を備えている.透湿性皆無の安いレインウェアであれば歩いているだけでも中が水滴が張り付くほどビショビショになってしまうがストクルはそうはならない!

冬山では?

防風性が高く軽量であるため,結果としてハードシェルのように使えてしまう.しかし,レインウェアは一般に雨を防ぐために作られているため生地の表面はザラザラしたハードシェルに比べ,かなりツルツルしている.もちろんストクルも例外ではない.これは滑落した際に大きな違いとなり,ツルツルしたレインウェアは氷化した斜面でスピードが付きやすく致命的な結末となり得る.そのため,ストクルをハードシェルの代用にすることはあまり勧められない…ゆるふわスノーハイクくらいに留めておいた方が無難だろう.

また,ヘルメットを装着したままフードを被れないのも痛い点である…フードの上からヘルメット被るのはなんか違うよな…

蓼科山
蓼科山
冬の蓼科山でストクルの性能テストを行う.

二年後のへたり具合

二年間は文字通り,二年間きっちりと使用した.雨の通勤・通学を始め,登山やツーリング,場合によっては春先のゲレンデスキーや冬山まで多岐にわたる.手入れは定期的にNIXWAXで洗濯・撥水加工をしていたが,どうしてもクリティカルな油汚れを落とすことは難しく,不格好になってしまった.また首回りは裏地とよく擦れるので皮脂汚れが蓄積しやすい上,シームテープが剥がれ始める始末…また袖口のへたり具合も中々なものとなった.

こうした油汚れは表地,裏地に関わらず雨にさらされると,汚れのない箇所と色の差が激しく浮き彫りとなり,ダサさは加速する一方…ここは暗い色であれば良かったと後悔…!

袖口の汚れ
袖口の撥水性は一番初めになくなる.
首回りの汚れ
首回りは油汚れで変色し,シームテープが剥がれてきた.

総じていいレインウェア

この記事ではあえてストクルのマイナスの側面からアプローチしたが,レインウェアとしてはよく作り込まれていて様々な工夫があり,洗練されていると思う.モンベル想定内の環境(普段使いやハイキング,登山)では胸を張って人にオススメできる一着だ.アマゾンで評価を付けるとしたら間違いなく☆☆☆☆☆である.しかし,ハードに使い倒す分にはまだ一歩及ばない所が垣間見えるのでガチ勢の方々にはオススメできない.多分ハードシェルを買う方がいいだろう.そう言った意味ではストクルは良くも悪くも値段相応のレインウェアであるようだ.

モンベル・スタッフバッグ
ここまで小さくなるのは大きなメリットの一つ.どこに行くときも必ずザックに忍ばせるようにしている.