2019.8.9~11
目次
夜明け
起床.山の朝は早い.太陽が沈んだら眠りについて,太陽が昇ってきたら目覚めるヒト本来の生活はフィールドでしか送れない.今日も刺激的な一日が始まると思うとワクワクする.
しっとりと濡れたフライのジッパーをおろすと眼前には雲海.白馬の街は雲の下.この時期は富山側が晴れている日が多い気がする.
朝飯はカレー飯.朝にご飯物を食べたくてこいつをチョイスしたが,やっぱり量が少ない.山歩きは朝にどれだけ腹に食べ物を流し込めるかが勝負だけど,これじゃダメだった…(20歳男の感想)
けれども湯を沸かしてすぐ食べられる手軽さは手放せないっ! 次からは一食で二個試してみる.
日が昇ってきた!また楽しい一日が始まる.
さっさとテントを撤収し,ヤマップを再開.
ここ,天狗山荘でテント泊してみて思ったが展望が最高すぎた.人も比較的少なくてゆったりした時間を楽しめた.そして水が旨い…
暇さえあれば白馬鑓温泉と合わせてここでゆるキャン△しにくるのもいいと思う.
不帰ノ嶮を経て唐松岳へ
今日の予定は五竜山荘がゴール.
コースタイムは以下の通り.
天狗山荘-150min-不帰ノ嶮-180min-唐松岳-160min-五竜山荘.計490min.
難所の不帰ノ嶮を通過するとはいえ,順調に行けば昼過ぎには到着できるはずだ.
Good Morning剱岳さん Good Bye白馬鑓さん
名残惜しいが天狗山荘を後にする.
そしてこれから向かうのは不帰ノ嶮.別名不帰キレット.日本三大キレットの一つで北アルプス中核の大キレットに次ぐ難しさらしい…
けどワクワクが止まらない!
文句なしの快晴!昨日の夕方と違って足は軽快に動いてくれる.
そして後ろを振り返っても素晴らしい!逆側から縦走しても景色が違って見えるに違いない…
私は意識して自分の歩いてきた道を振り返るようにしてるので進行方向と逆の写真が多いです.
そして東側・白馬村の方を見ると雲海.ああ,極上の散歩ってこういうことだったんだ…
西側には剱岳と立山!
なるほど.こうして見ると,今歩いてる場所が後立山連峰という名前になっていることが良くわかる.
出発してあっという間に天狗の頭に到着!天狗山荘から天狗の大下りまでは起伏の変化が少なくてめちゃくちゃ歩きやすい.危険個所もなくほぼフラットなのでいきなりボーナスステージだった.
そしてその先に待ち構える不帰ノ嶮.こうして見るとそんなに問題なさそうだ.
ずーっとこんな道.ひたすら気持ちがいい.右を向けば剱岳と立山が見えてその都度同じような写真を量産してしまう.
ここから大下り.万全を期して,ヘルメット装着!大下りってだけあって中々の急斜面.石を落としてしまったら取り返しのつかないことになるので一歩ずつ注意して降りる.
それにしても友人のパッキングがうんこ!
このザック…私が譲ったものだけどパッキングが死ぬほど難しい.無駄にでかい雨蓋に色んな物を詰め込むとこうなるのだ…
ひたすら短いつづら折りの道を降りていく.しかもちょっとザレてる.
つづら折りの何が怖いってフォールラインが変わらないこと.つまり上で石を落とすと真下を歩く人まで危険が及ぶってこと…
時々人とすれ違うけどヘルメット着用率はかなり高い.つまりそういうことだ!
不帰沢.雪のある景色っていいよね.
振り返ると…これ登るのしんどいゾ!下りで良かった!
そして不帰ノ嶮に突入!まずは一峰へ.
?
そこまで危なくないね…?ハイマツの生えた岩稜帯をただただ歩く.
あれ?もう着いちゃったよ!
振り返るとこんな感じ.一峰はむしろ天狗の大下りを登る方が危険なんじゃ…
まあ核心部は二峰っていうし,二峰に期待!
君が二峰君か…よく見ると影になってる斜面に鎖が付いてる!
おじさんをワクワクさせてくれるじゃないか!
8000mを落とすサミッターの気持ちってこんな感じなんかな?楽しさと怖さが1:1だ.
最低鞍部までやってきた.一息付くならここしかない.
近くまで寄るとさして問題はなさそう.足場と鎖以外のホールドはしっかりある.クライムオン!
手を離せば死.こうして生と死の狭間ずっと晒されることは日常じゃまずない.
自然と緊張感が体に走る…けどむしろこういう局面では落ち着きが大事.
この矛盾した心理戦ができない人は多分来ちゃダメだ…
怖さが一辺倒だと体がガチガチでうまく動かないと思う.
ただ永遠と鎖場が続く訳でもなくこうして写真を撮れるくらいのスペースは所々にある.(人によっちゃ写真撮るどころじゃないかも.あくまで私の主観です.)
出たな!噂の鉄梯子!これをここまで持ってきた人すごすぎる…
鎖と梯子のお陰で難所を問題なく通過できる.
岩場は続くよ.どこまでも.
と思っていたけど鎖場はここまで.思ったよりイージーに通過できた.
適度な緊張感が気持ちよかった!
トップ!最後の鎖場を通過してからは特に問題なく山頂まで来れました.
頂上はそんなに広くないけどここで大きく休憩.
不帰二峰南峰~不帰三峰~唐松岳.
目標の唐松岳はすぐそこ!ここからは危険個所はなく楽しい稜線歩き.
すぐそこと思っていたのに稜線が楽しすぎて全然進まん!立ち止まっては写真撮っての繰り返し.背中の荷物の重みを全く感じないくらいには脳内麻薬ドバドバでした(笑)
ただこういう無意識のうちに蓄積した疲れって後々効いてくるんよ…
そして唐松岳への最後の登り.今度こそもうちょっと!
唐松岳やーっと到着しました(笑)
いや~遊びすぎた!でもいいんです.このために山に来てるんで.
それにしても流石お手軽マウンテン・唐松岳.人が多い!
八方尾根から登れば一瞬で来れるもんな…
けどそのお手軽さでここまで来れるのはコスパ良すぎだぜ?
本日のメインディッシュ.ご馳走さまでした.また来ます!
ひとまず唐松岳頂上山荘まで降りよう!霧の中の要塞みたいでかっこいい!
唐松岳まで来たけれど実は五竜山荘までまだまだ気は抜けない.不帰ノ嶮の陰に潜んだ岩場の「牛首」を通過するという仕事も残っている.
途中で富山県警のヘリも飛んできて自然と気持ちが引き締まる.どうか事故じゃありませんよーに!
この標高でもけっこう暑くなってきた.そして足取りも重たい.牛首から一気に高度を下げて再び五竜まで登り返す.友人との会話も途絶え,距離を詰めることに専念する.
とーちゃーーく!!!
疲れを想定した時間通りに着いた.案の定この時間でもけっこうテントを張ってる人がいます.
テン場難民になって人権のない場所で夜を過ごす事案は回避できました(笑)
さっさと小屋で手続きを済ませて,マイホーム・ステラちゃんの設営完了!区画は自由に選べますがテント間はゼロ距離です(笑)
我々は段々畑になった区画の上段を陣取りました.
テントの中からはこれ!今日も優勝です!
ゆるい山時間△
テントを張ってしまうと特にやることはなく,めちゃくちゃ暇なので五竜岳の頂上まで散歩することに.今日もガスが湧いてきて長野側は真っ白.
トップ!!五竜山荘からは小一時間くらい.噂通り先日の雷で頂上の道標が裂けてました.
暇なときにやることは一つ!山頂でくつろぎます(笑)
時間と荷物に縛られず歩けるのって最高だ!
テントに帰ってきたらとりあえず横になります.
写真だと最高ですが裸足になると速攻で悪臭がテント内に充満します(笑)皆さんはこの悪臭とどう向き合ってますか?
私は諦めて臭いまま放置してます…
日没を待ちながら至高の一杯.銘柄はもちろん大雪渓.疲れた体にはアルコールの回りが早く,すぐに気持ちよくなれます.重いけどわざわざ荷揚げして良かった…!!
ダラダラしてるとすぐに夕日の時間.みんなで日が暮れていくのを見守ります.私は眠たくて仕方がなく,日が落ちるとすぐに寝落ちしました(笑)