【北アルプス】笠ヶ岳周回~鬼の笹薮クリヤ谷から小池新道~

目次

概要

2021.8.28(土)

M1の夏.なんだかんだやることがあって忙しいが,時間を見つけて堪らず晴れの北アルプスへ.今回は久々にソロなので人が嫌がるような山をやろうと思い,クリヤ谷を攻めてみるとこにした.相変わらず1人となると計画もガバガバになる.前日に白山山系の東俣谷で沢登りをやっていた訳だが,白山から北アルプスに向かうには山を大きく回らないと辿り着かないので富山側までバイクを走らせていたら時間が思いの他足りず苦しいタイムスケジュールとなった.それでも仮眠だけは絶対欲しかったので神岡郊外の公園で4時間仮眠し,遥々新穂高までやってきた.

悪名高きクリヤ谷は一言で言うと薮パラダイス.まあ記録の少なさが全てを物語っている…一般登山道という化けの皮を被っておきながらその実態は踏み跡は確認できるものの,森林限界までびっしり笹薮.終始藪漕ぎをする覚悟,体力がない方は全く入山をオススメしません(笑).とはいえ今年(2021年)は登山道未整備のため一般には通行止めになっているので入山者はほとんどいないはずだが…逆に南アのバリルートや沢の原頭部などの藪漕ぎで興奮してしまう性癖の方にはオススメです(笑).

笠ヶ岳から先はゆるふわで北アらしいたおやかな稜線に癒された.弓折岳からは天気が悪くなり時々小雨にやられたがさっさと下山していたので大した影響もなし.小池新道は整備が入りすぎてびっくりするくらい下りやすくあっという間に左俣林道まで逃げ降りてきた.

ルートは以下の通り.

合計距離: 27654 m
最高点の標高: 2892 m
最低点の標高: 967 m
累積標高(上り): 2496 m
累積標高(下り): -2493 m

2:25 新穂高無料P
3:00 クリヤ谷登山口
7:10 クリヤの頭
9:15 笠ヶ岳
10:10 抜戸岳
12:35 弓折岳
13:05 鏡平山荘
14:20 小池新道登山口
15:10 新穂高無料P

詳細

クリヤ谷の洗礼

深夜2時.新穂高無料Pにピットイン.この時間で満車とは流石新穂高.しかしこちとらバイクなので全く関係なし(笑).一等地の上段に止めさせてもらえた.

車道を2km歩いて登山口へ.最近ヘッドライトの調子が悪くて新品の電池を入れても消えたりする…今回もそんな感じで調子が悪く10分程格闘.なんとかご機嫌が直り点灯してくれたので出発.まあ最悪登ってる途中で潰れたら大人しく朝を待てばいい.(そろそろ買い替えか?スイフトRL欲しい)

この看板はやっぱインパクトあるよな(笑).了解っす!!登山道はあくまでも未整備であって,立ち入り禁止と書いてない所に優しさを感じた.

渡渉は合計3回.大雨直後は通れないこともあるらしい.ここ数週間は雨続きで少し心配だったが,晴れた日を何日か挟んだので水量も落ち着きどのポイントでも濡れることなく通過.

2回目の渡渉が終わったくらいで笹の主張が強くなってくる.だけどまだ全く問題なし.朝露対策も兼ねて早めにレインのズボンを着込んだ.

3回目の渡渉が終わるとガチで笹がウザくなってきた. この時点では腰上くらいの草丈.持ってきたストックのバスケットが引っかかりまくるので外してしまった.

そしていよいよ目線と同じ草丈に(笑).別に藪漕ぎだけなら問題ないのだが,笹どもが朝露でぐっちょぐちょに濡れているので全身水浸し.レインも着ていたが防ぎきれない水量.シューズは当然ちゃぷちゃぷ.

いつの間にか空が明るくなってきて焦る.写真も撮りたいが…先述のようにカメラが濡れるのでザックにしまっていた.焼岳が美しかったがカメラを出すのが億劫すぎて撮った枚数は少ない.

この濡れた薮.ディスカバリーチャンネルのエドニキからもFワードが飛び出ること間違いなし…

藪漕ぎは佳境に突入!この時彼はルートを外して直登してるとは知る由もない.個人的には標高1900→2300mに上げる区間が一番辛かった.

DSC_0513

ふう.どうやらやっとまともな登山道かと思っていたが.ここでルートを外したことに気づく.微妙に自身がバリルートをかじったりしたことがあったからか,ここの「道」の基準がおかしいのかは分からない.これまで踏み跡は存在していたので踏み跡と思い込んで登っていたのはどうやら小さな枯れた(伏流した)沢だったようだ.つづら折り区間は踏み後の上に笹が被っていてほんとに見えにくいので行かれる方は注意して欲しい…

穂高が嘲笑ってる…

この沢を上がってきた.これ下から見ても上からみても踏み跡にしか見えのよなぁ(笑).景色はいいが…

現状を整理するとトラバースで登山道復帰かこのまま直登して合流するか,それとも元来た道を戻るの3択.こういう場所での1mは冗談抜きで1m進むのに1分くらいかかったりするので死活問題.とりあえずこの時点ではトラバースは厳しそうだったのでこのまま上を目指すことに.元来た道を戻るとまた200mくらい下らないといけないので却下.

ラッキーなことに沢を詰めたので十分な水が流れてた.当初の予定では最終水場でハイドレーション2Lとボトル0.7Lをここで満タンにする予定だったので助かった.ここまでで上げた水は0.7/1.5Lを消費.

ようやく登山道に復帰!!

水場から悪戦苦闘でもがいても進まない猛烈な藪やら,草付き斜面の急斜面の直登,藪トラバースやらで大変やった.

この黒い筋が登山道.歩いてきたのはその筋の右側の薮.最後は鬼の薮トラバースをかましてなんとか復帰できた.しかし時間と足の貯金は大幅にロス.特に朝の貴重な小一時間くらいを失ったのは痛すぎる.

クリヤ谷後半戦

一息つく間もなく出発.ここからはご褒美区間と思いたい!

とりあえず晴れてて良かった.これがガスり始めたりした時には拗ねて帰る所だった…あぶねぇ

クリヤの頭あたりから見る雷鳥岩のあるピーク.

道があるって最高やな…

見えた! やっと笠ヶ岳本体のお出ましよ!このでかい山体は南アの山をも彷彿させる逞しさ.笹藪に難儀したけど来てよかった!!

バイト先でもろた高級品・メダリストを投入!しかしイマイチ効果は実感できず残念.

振り返って.やっぱこれは南ア特有のしんどさよ.

珍しく乳酸貯めてしまったらしく足が重い.薮のせいでしかない…けどこのしんどさも帰ったら忘れるから頑張ろう.

槍穂高は朝からずっと見えて気分がいい.暖かいうちに早めに昼休憩することにした.おにぎり×2と生ウインナーを摂取.およそ660kcal.

東側は風がなく,さんさんと日が当たってポカポカだった.勢い余って四ノ沢左俣に吸い込まれそうになった(笑).

笠さえ登ればあとはゆるふわになるのでもう一押し.ラスト250UPかな?Summit Push!!

稜線は風があってちょっと寒い.靴以外は乾いてきたのが救い.

直下は岩場.

百名山82座目は笠ヶ岳でした!

仮払いされた?クリヤ谷のコースタイムが9.5hなのは納得ですわ.今回登山口から6h17minもかかってしまった.

登ってきた道を見ると結構グロめ.しかし達成感は半端ない.これやから懲りずに変なルートから登ってしまうんよなぁ

笠ヶ岳からの展望

ここからは正真正銘のゆるふわステージ.さっきまで文句しか言ってなかったのにえらい違いだ.

抜戸岳までアップダウンはほとんどない.
白山方面
黒部五郎と薬師.まさか2週間後に行ってるとは思わんかった.
黒部源流の山々.赤牛~水晶~鷲羽もばっちり見えてる

ふわふわタイム

ここからは基本的に下り基調.もう恐れるものはないもない.

ありゃ.笠ヶ岳山荘には通行止めという貼り紙.まあ行く人は行くやろうから,突発的にクリヤ谷に進入して迷うケース防ぐには一番の方法やな.

あと残念なことにバッチは売り切れ.また来ます~

気温は18℃近く.ようやく運動しやすい季節になってきたな.

ここからはトレランスタイルの人たちと抜きつ抜かれつを繰り返しながら進んだ.気持ちいい尾根歩きではるが,アドベンチャー要素はなくやや物足りない印象.

播隆平と穂高
振り返って笠ヶ岳.

朝露にこてんぱんに殺られたシューズもやっと回復してきた.TX4アッパー部分は丈夫だけど乾くの遅いのが難点やな.

確かにどっから見ても「笠」に見えるわ.

しんどいと噂の笠新道と杓子平.いっぱい人が歩いて高速道路が出来ているのにしんどい訳がなかろう…

笠新道の分岐を過ぎると極端に人が減る.みんなこれからカサに向かうらしい.

抜戸岳頂上.

うーん.ちょっと稜線の戦闘力がなさ過ぎて魅力に欠けるな.どんどん不感症の道を歩みつつあって悲しい.

ここから見る笠ヶ岳は小笠から延びる北西尾根が美しい

秩父平に向けてちょい下りまーす.

晴れ間があれよあれよという間に逃げて行って,雲が流れ込んできた.マジで藪で苦戦した時間が惜しい.

初めて双六岳をちゃんと目視した.噂通り山頂部には台地が広がっているのか.いつか双六谷を詰めあがる遡行をやってみたい.

秩父平からは細かいアップダウンが多かったがそれくらいでいい.降下開始地点の弓折岳に到着.天気も持たずにパラついたりしてるのでさっさと降りちゃおう.

続々と小池新道から人が上がってくる.昼過ぎの今の時間やとみんな双六小屋か三俣山荘かな?

あれだけ全裸で愛想の良かった槍穂高も今はツンツンし始めてパンツを履いてしまった.写真真ん中にはこれから降りる鏡平山荘が見える.

グッバイ左俣谷.

あわよくば鏡平で槍のリフレクションを拝めるかと思ったが案の定失敗(笑).まあどうせここには飽きるほど来るやろうから全く問題なし.

意外と新穂高まで距離あるんよな.おおよそ今からうっすら見えてる焼岳の裾近くまで行かんとあかんのは萎える.とはいえ高速道路なのでせっせと駆け降りていく.

秩父沢もスルー

しかしこの小池新道で14時近くにもなってこの辺にいる人は遅すぎないか?続々と登って来てて北アの登山者のプランニングのなさよ…

最後まで粘って林道にゴー―――ル.

左俣林道はちょいちょい走ったのであっという間に新穂高に.おつかれした!!

その日のうちに帰ろうかと迷ったが流石に眠たいのでしっかり高山の公園でテン泊して帰ることにした.新穂高の湯はコロナと増水の影響でクローズ.諦めて荒神の湯に浸かって,高山のかつ庵でかつ丼大を食ってこの日はフィニッシュ.翌朝トコトコと京都に向けて帰路に就いた.

定番となりつつある高山のかつ庵

終わり

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