【レビュー】スポルティバのTX4を600km履いてみて【LA SPORTIVA】

今回は界隈では密かに人気のアプローチシューズのレビュー.他のメーカーに比べると若干高くて迷った部分も多く,さらに防水でも何でもない.果たしてスポルティバの実力とは?現在まだ履きつぶしてはないものの,履き始めて丁度600km歩いたのでここらでレビューしておく.

私の4代目の登山靴に選ばれたトラバースX4,通称TX4はまさしく4代目に相応しい名前だ!!
焼岳にて(10月)

目次

各部詳細

まずはメーカーHPの説明から.

機動力と守備力の高次元融合

岩稜帯が組み合わさる稜線などでの長時間歩行まで想定した、トラバースXシリーズのレザーアッパーモデルです。ヒールからつま先までをしっかりと保護する.5mmのラバーコーティングにレザーを組み合わせ、堅牢性を高いレベルまで引き上げながらも片足380gの軽量性を実現。歩行の安定感を高める立体的なフッドベット構造に加え、路面との接地面を広げてねじれや安定感を高めるアウトソール構造を採用しています。アプローチの範囲だけでなく、ロングトレイルや登山シーンまで活用できる本格的な山岳シューズとして妥協のない作りに仕上げています。

公式HPより引用

ソールはこんな感じで安心のビブラムソールが入っている.ちなみに私は初めてのビブラムソール.かなり柔らかく粘り気のあるゴムのようで,まあほとんど滑ることもない.(硬くて安いタイヤは滑りやすく,柔らかいタイヤはコーナーでも張り付くようなグリップ感があるのと一緒!!)

さらにつま先部分にはクライミングゾーンが設けてあって岩場の歩行が楽しいのも良い.

独特なソールパターン.

小指側の底面をやや広くすることで、足のねじれを抑え安定性を確保しているらしい.

後ろから.ラバーコーティング部にTX4のさりげない主張が.プルストラップは珍しく紐で構成されている.

TX4のここがいい!

やはり特筆すべきは,なんと言ってもそのグリップ性能.

特に下りでは置きたい足場において確実にピタっと止まってくれる.これがビブラムの力か!!と驚いた.
2022.6.15追記
トレランシューズ×ビブラムだと岩場のグリップは乏しいので注意しよう.逆に土や泥に対してはトレランシューズの方がよくグリップする.

この強力なグリップのお陰で,バランスを崩しても粘りを見せて上手くリカバリーできる.この性能はモンベル自社ソールのトレールグリッパーといい勝負してるんじゃないかなとも感じた.

悪沢岳にて(11月)

ただ,皆に気を付けてもらいたいのはソールの強力なグリップが意味することは,その分早く寿命が来るということでもある.ソールが頑張ってグリップしてくれる分ゴムが削れていってしまうのだ.よく「ビブラムはグリップがすごいけど寿命が早い!!」と嘆いている人を見かけるけれどそこは割り切らないといけないと思う.実際,先代のトレランシューズは割とゴムが固くてトレランシューズの割に長寿だったけれど,その分全然グリップしてくれなかった.

阿蘇山にて(3月)

さらにずっと履いていても快適なのも良い.しなやかに足に追従するアッパーと程良い硬さのソールの組み合わせが絶妙すぎるのだ.

未明からスタートして10時間を超えるような山行を度々する私にとって足に合わずに不快な靴というのは考えられない.

燕岳にて(10月)

そしてスタイルを選ばない守備範囲の広さも良い.

アプローチシューズとしての使命を果たしてくれるのはもちろんのこと,長距離の縦走からトレランまで幅広くこなせるのは素晴らしい.

もちろんトレランシューズでも岩場のアプローチだって,縦走だってできるけれどたまに無理のある局面があるのも事実.

だけどこのシューズは「無理なく」こなせるのだ.

ハイカットの登山靴にはない軽快さとトレランシューズにはない安定感で山を走り抜けるのはほんとに気持ちがいい.

南木曾岳にて(5月)

TX4のここがダメ…

正直,今のところ大きな欠点は見つからない.

ただ,これは私だけの症例かもしれないけれどTX4で長時間歩くと,稀にくるぶしの骨がズコズコと履き口に当たって痛むことがあった.

実際TX4は他のシューズに比べても履いた時にくるぶし部分の露出が多くてたまたま私のくるぶしが当たることがあるといった具合だ.

ただこの症例は履き始めた序盤にしか起こってないので単にシューズが足に馴染んでいなかっただけだと思う.

心配な方は実際にリアル店舗で試し履きをしてから購入することをオススメする.

小河内岳にて(11月)

防水性はなくてもいいのか?

最後に一般に登山靴には必要と言われる防水性についても言及しておこう.

昔は私も登山靴にはゴアテックスが備わって然るべき!!と思っていた時期もあったがここ数年考え方が変わってきた.

ゴアテックスが機能を発揮する条件を考えてみると雨天時と朝露・ぬかるみ・水たまりの通過くらいのものである.

まず雨天時.何日も日にちをかけて山を縦走する時には防水性が必要だ.けれど私は天気の良い場所を狙った登山しかしないしほとんど日帰りの長距離というスタイルがほとんだ.ならば別に防水性はあってもなくてもいい.しかも山でしっかり雨を食らってしまえば多かれ少なかれ結局濡れてしまうというのが私の経験である.(いくら防水でもカッパやゲイターを伝って水が内部に浸入する)

さらにグロイのが朝露の付いた笹道だ.寒暖差の激しい時期は決まって朝露にやられることが多く,履いているシューズに防水性があろうがなかろうがぐしょ濡れになってしまう.

どのみちシューズ濡れてしまうなら防水性は必ずしも必要でないというのが私の今の見解なのだ(笑).

そのためTX4の用途を考えると,防水性が備わっていないのは正解だと思っている.

さらに,防水性があると蒸れやすく,しかも一度濡れるとシューズが乾きにくいという弱点もある.その点,TX4は蒸れることもなく快適で素晴らしい.

雨上がりで濡れた草木の水気を全部吸収してずぶ濡れになった
白山にて(6月)

まとめ&600km歩いた現在の状況

本来こういったシューズは履きつぶしてからレビューしたかったがネタ不足感もあったため早めに記事にすることにした.TX4の現状を皆さんにも見て頂こう.アッパーは新品時に比べてかなりクタクタに,ソールはかなり角が落ちて丸くなった.恐らくこのシューズの寿命は今で折り返し地点.新しい靴が心地よくて性能が保証されているのは当たり前だけど,死に際にどこまで性能を保てるかが靴の評価基準の一つだと思っている.あと半年~1年程持ってくれたら嬉しい.

2022.6.15追記(600km地点)
全体的に相当な使用感.とはいえ穴や破れはなくシューズとして致命的なダメージは未だないが,ソールはかなり削れて当初のグリップ力はなくなってきた.しかしそれさえ理解していればまだ履けるだろう.シューズとしての耐久性はかなりのもの.長く(期間ではなく距離)履きたい方には強くオススメできる一足だと思う.

250km地点でのアッパー
250km地点でのソール
600km地点でのアッパー
600km地点でのソール
聖岳にて(5月)

また履きつぶした時にはリライトするので乞うご期待!!

終わり