目次
概要
2021.9.13(月)-15(水)
山において夏の遊びの集大成は何だろうか.やはり沢登りと渓流釣りを絡めた山行だと私は思う.学生のうちに遊びの手数を広げるべく今シーズン(2021年)から始めた沢登りと渓流釣り.夏が過ぎ去っていく前に何か満足感の高いことがしたい.それならばアルプスがある.アルプスには黒部源流がある.
ここらで有名なのはやはり赤木沢だろう.この沢ならロープも要らず,私の浅い沢歴でも行ける.装備もつい先日の知床半島一周とそう変わらず問題もない.そこからはとんとん拍子で話が進み,あっという間に計画が練り上がった.
ルートは以下の通り.
1日目:飛越トンネル→北ノ俣岳→黒部五郎岳→五郎沢右俣下降
2日目:奥ノ廊下下降→赤木沢遡行
3日目:北ノ俣岳→薬師岳→北ノ俣岳→飛越トンネル
1日目:飛越トンネル→北ノ俣岳→黒部五郎岳→五郎沢右俣下降
2日目:奥ノ廊下下降→赤木沢遡行
3日目:北ノ俣岳→薬師岳→北ノ俣岳→飛越トンネル
詳細
1日目
飛越トンネル→北ノ俣岳
知床半島一周を果たしたkyoニキと共に京都からバイクを走らせ飛越トンネルへ.ここまで片道約320km.前日のバイトを17時に切り上げ出発したのに高山の公園で2時間程仮眠したりしているうちに登山口に着く頃にはすっかり明るくなってしまった.
ツーリングバックに積み込んだ荷物を一旦全部降ろして再度ザックにパッキングし直して出発.
スタート地点の標高は1450mとかなり高く1200mも標高を上げれば主稜線に上がれるのだが,今回はテント泊装備&沢装備なのでかなり重い.飛越トンネルからはずっとこんな感じの単調な森を我慢して登って行く.
中間地点の寺地山.意外と長袖でも暑くはなく運動する分にはちょうどいい気温で歩きやすかった.道は綺麗に仮払いされているものの,水はけの悪い土壌のせいかかなりぐちょぐちょで難儀した.
さてここからおよそ600mUPの闘いが始まる.泊装備も重かったが,それ以上に寝不足で辛かった.kyoニキ)眠いっつたらまたスタート地点からやり直しなwww
私)それもはやゴールでは?!www
途中で池塘が出てきた.ぬかるみが多いといのも納得.なんとなく信越の高層湿原に近い雰囲気を感じた.
日帰り装備で来る分にはそれなりに早く登れそうだが,今回の我々は牛歩戦術しか使えなないので進度はイマイチ.
登山道は高層湿原由来の泥炭層の上に笹や高山植物が覆っているだけので崩れやすく,見ての通り登山道は人によってえぐられまくっていた.
北ノ俣岳には着いていないが,早めに昼飯を食うことにした.思えば満足に朝飯を食べる時間もなかったのも敗因の一つだ(笑).とりあえず強烈な眠気覚ましを注入することにした.う~ん!!キマッた~~~!!
kyoニキはまたもやパスタを食ってる(笑).他のレパートリー開拓したらいいのにと思うが(笑).
そして箸を忘れたようで枝で食っていた.
時間はちょい押し気味.スタートが遅かったこともあって若干焦る.今日のゴールは黒部五郎岳のカールをずーっと下った所まで.行けるかどうかじゃなくて行くしかない!!
後方には有峰湖.奥には白山も.滑ったら気持ち良さそうだ.
ようやく北ノ俣岳.スタートからおよそ5h20min.まあまあかかってしまった(笑).
黒部五郎岳までのご機嫌トレイル
さてここからはご機嫌トレイル区間.kyoニキは初のアルプス.雷鳥をどうしても見たいと意気込むが…出てくるかどうかは正直運なのよな~しかしそれを見つけるのが生き物屋の腕の見せ所とのこと.頑張ってくれ!!
本当にアップダウンが少なく歩きやすい道が続く.
これは北アルプスでも指折りに最高な稜線かもしれんな…
さてラスト登り300mUP.私は妙に調子が良くてkyoニキを置いて先にピクることにした.ギアを上げてガシガシ進む.
振り返れば桃源郷.
Summit Push!!ラストスパートよん!!
10分ほど頂上で写真を撮りながら待っているとkyoニキが登ってきた.んでもって記念撮影.百名山83座目は黒部五郎岳でした.
そしてこれがかの有名な黒部五郎カール!!カール底にはゴーロがゴロゴロ.ゴーロを五郎と読ませるのは粋ですなぁ.
正面には水晶岳.別名が黒岳らしく,確かに黒い山肌である.しかしここからでも遠いな~.いつも見えてたら近いとは言うがこやつは別格やわ.新穂高,折立,飛越トンネル,高瀬ダムと色々ルートは引けそうだがどうやって登ろうか.今後の課題である.
五郎沢右俣下降
まったり休憩したら重い腰を持ち上げて先へ進む.ひとまずは登山道に沿ってカール底へと降りていく.
kyoニキは今回ウェーディングシューズと普通の運動靴での参戦.下りは滑って仕方がないとのこと.そりゃそうや(笑).早くアプローチシューズ買ってくれ~(笑).
五郎のカールは平日ろあってか静か.紅葉のカールといえば涸沢や千畳敷だけど全く行きたいと思わない.山は人がいなくてなんぼのもんよ.
五郎沢の水線沿いを降りていく.始めはちょろちょろと流れている小川が段々太くなっていく.
五郎沢を降りる分にもロープは必要ない.ゴーロがかっちり組み合わさっていて雑に足を置いても問題ない.もはや石段と言ってもいいくらいの安定感.浮石もなく快適に沢を降りていける.
正面には鷲羽岳~ワリモ岳~水晶岳の稜線が.
終盤は序盤には見なかった岩魚も増え,竿を出すと見事一匹釣れた!!今回はキャストする場所をkyoニキに教えてもらいながらだったので次は1人でやってみよう.
とりあえず暗くなる前に幕営場所を見つけることと岩魚釣りをもっとしたいという板挟み状態だったが幕営場所を確定させないと直ぐに暗くなるので急いで下った.
今日はここまで!記録に多かった出水平にて幕営.しかしそれよりも岩魚釣り!!腹が減っても岩魚釣り!!暗くなる直前までずっと竿を振っていた(笑).
2日目
奥の廊下下降
起床したのはなんと8時だった.アラームは6時にセットしていて一旦目は開いたのだがあまりにも眠くて二度寝をかましてしまった.まあ今日はゆるゆる赤木沢を登るだけなので全く問題なし.
朝露だらけのテントを出ると空気がピリッと冷たい.これほんまに沢入るの??ってくらいには寒い.天気も高曇りでややモチベーションの低い朝が始まった.
相変わらず朝はパスタ150gとソーセージ1袋.これだけ食べれば大体調子よく動ける.
ゆったりと朝食を済ませ,シメッと濡れた沢靴を履き,荷物も防水バックにぶっこむ.山でこんなにゆったりした朝は初めてだったかもしれない.
出水平は五郎沢と黒部川本流の出会にあって途端に水量がUP.とはいえさして問題もなくしばらくは右岸,左岸と弱点を見つけながら沢沿いを忠実に下っていく.
水が美しく透き通り気分もいい.朝一は寒かったものの,動いているとちょうどいい気温.
所々で岩魚も!!昨日の五郎沢でもそうだったが上流から下流へ向かうと岩魚にすぐに気付かれて各段に難易度が跳ね上がるということを学んだ.しかも本流筋は水量が多く,岩魚のいるような淵では水深も深いので我々の持ってきたフライでは岩魚の興味を引くのが難しいらしい.こういう場所はルアーが適しているとのこと.
そのため本流筋で釣りは潔く諦めてさっさと赤木沢に向かう.所々で膝上の渡渉もあり,一眼レフをぶら下げながらの特攻だったので冷や冷やした(笑).いい加減水遊び用に防水カメラを買おうと思う.
赤木沢も近い.流石に一眼を出して進むのは厳しいのでウォータープルーフタンクに突っ込んでから進む.カメラを持って落ちたら泣くに泣けない(笑).
噂のミニナイアガラの滝を降りたらいよいよ赤木沢.滝は左岸の方が階段状のスラブになっていたので問題なく降りられた.
赤木沢遡行開始!
いざぁ赤木沢!!と言ったはいいもののどうやらしっかり濡れないと入れさせてもらえないらしい.覚悟を決めて入水!!しかし思ったより浅く腰上程度の水深.川底の岩を上手く伝って渡り,濡れの被害wwはほぼなく渡れた.しかしkyoニキはミスって胸までしっかり浸かってガタガタ震えていた(笑).何だかんだここが赤木沢で一番濡れるポイントとなった(笑).
序盤から天国のような美しい渓相が迎え入れてくれる.難しい場所は全くない.今回我々はシャワークライミングではなく岩魚にフォーカスしていた為サラサラ濡れるつもりもなく滝は全部巻いて登る.踏み跡もしっかりあるし,そうでなくても簡単に登れる箇所ばっかりで初心者に優しい.
岩魚の魚影も良く走り素晴らしいフィールドであることが伺える.それぞれが良さげなポイントで竿を出して釣りに興じる.今回何より大事だなと思ったのは岩魚に気付かれないように回りこんで近づくこと.前回一人で白山の東俣谷に行ってみたが全部気付かれて坊主に終わった.
今回は反省を生かして,こっそり岩の陰からふわっとキャスト.水面で見やすい蟻さんのフライが漂っていたのも束の間.ビビット!!と竿に電撃が走る.すかさず釣り上げるとおよそ23cm程の岩魚が釣れた!!かっこいいじゃないか!!
釣り童貞だった自分が1から10まで全部自分でできたということが感動.しかし課題もまだまだ残る.岩魚の潜んでいそうな場所の選定,合わせなんかが全くもってできない.勘でキャストして勘で釣り上げているのだから本当の実力ではないだろう(笑).
岩魚はんには写真を撮ってまた沢に帰って頂いた(笑).
渓流釣りに夢中になって立ち止まっているとやはり寒さを感じる.それもそのはずで沢沿いはどこもかしこも紅葉している木が多い.ナナカマドに至っては見ごろと言ってもいいくらいには紅葉が進んでいた.
ここは何度でも来たいなぁ.次は夏真っ盛りの時に滝を登ってみたい.
美しい滝が幾度も現れる.これは赤木沢の記録によく登場する滑滝だ.
水量は恐らく少ないのだろう.際どい箇所は全くない.
この滝は左岸から行くのが正解.しかし右岸の踏み跡が濃く自然と誘われてしまった.
巻き道には最近のものか足跡多数.この人気なはずの赤木沢だが,平日&9月の半ばということもあってか誰とも遭遇せず静かで素晴らしい.夏は大繁盛な気がしてならない(笑).我ながらいいタイミングで来たもんだと思う.
ミスって右岸を右往左往する.巻けないこともないがやや藪くて時間がかかりそう.
しかしルーファイをミスったお陰でいい画が撮れて満足.諦めて左岸から巻き直した.
kyoニキが満足な岩魚の写真を撮れていないらしい.一旦でかめの淵で大休止がてら最後に釣りをすることにした.この先どこが魚止になっているか分からない.
私も竿を出して興じる.見事!!さっきよりもでかい25cmくらいのが釣れた!!
kyoニキ曰くここ黒部原産なのは黒っぽいヤマトイワナとのこと.しかし放流が盛んになって人の手で持ち込まれたニッコウイワナもいる可能性があるらしく,その雑種がいるせいか模様が固体によって全く違うのが興味深かった.何でもかんでも放流して個体数を増やせばいいというものでもないらしい.古来の原種を守ることが人の務めとのこと.
トイ状の滝を越えたり
見事な多段滝を越えたり
遡行も終盤
最後の大滝まで来た!!威圧感がすごい!!こんな所は当然直登できなので左岸から巻く.
後で気付いたことだが滝が見える所から取り付くとフリーで登る分にはやや嫌らしいので,ちょっと下流に戻った所から取り付くのがいいかもしれない.
赤木沢源頭部へ
大滝を越えたら支流の方へと舵を切る.
流石に川幅は狭くなってきた.このまま藪漕ぎか?と思わせといてゆるっと登っていけるのが赤木沢.
稜線が見えてきた.今日のゴールももうすぐよん.
美しい源頭部.晴れていたらもっとよっかただろうに.
と思っていたら雷鳥さんを発見.つがいで仲良く行動しているのをkyoニキが発見.おめでとう!!見たがっていた雷鳥を北ア一発目なのはビギナーズラックかな(笑).
今日は赤木平まで進んで幕営.見よ!!この天国!!この辺りの沢は絶対何度も通うぞ…
暮れゆく薬師岳を見て祝杯をあげる.といっても持ってきた日本酒は昨日飲み干してしまったのでkyoニキの熱燗を一口もらっただけだが染み渡った.
山で幕営するのも久しぶり.時間がなければワンデイロングも有効的だけど,時間があるならなるべく長く山にいたいと思えた.赤だしをすすりながら脳みそを空っぽにしているといつのまにやら日は落ちていってしまった.
3日目
今日は最終日.朝3時に起床.昨日山を降りるという選択もあった訳だが,この日は朝から快晴の予報.ならば蛇足だが薬師岳に行くという選択もあるのではないか?!行くしかない.
いつもなら寝不足で眠たく息も切れ切れになって稜線で迎える朝だがテント泊のお陰でいつになく体が軽やか.
おは水晶!!
五郎ニキもにっこり.奥には槍先輩も.
kyoニキは明日,ゼミとバイトがあるらしく北ノ俣岳でお別れ.最後の最期まで迷ってたけど英断かと.薬師ピストンすると何だかんだで6時間近く使っちゃうからね…気を付けて帰れよ!!
テン泊装備はデポして軽装でGO!!kyoニキが見送ってくれた.
さて北ノ俣岳から薬師岳までは片道CT4h55minの道のり.
トレイルは至極快適で飛ばしまくる.
あっという間に太郎平小屋.水も景気よくじゃぶじゃぶ出てる.
登り返しの600mUP.さあ来い!!
最低鞍部の薬師峠のテン場.眺望はややイマイチかな.太郎平までが眺望良すぎた.
遠くには槍が.早く槍たいな.
正面に薬師の東南稜がズドンと見えてきた.ピークまで距離が長いだけに勾配も緩やかで登りやすい斜度が続くので休むことなく歩き続ける.
薬師岳山荘.さあもうひと頑張り.
標高を一気に上げても全く息が上がらないのはテン泊のお陰か?
ピークを捉えた.キミたちにはこのビクトリーロードが見えるか?
特別天然記念物に指定されてるだけあって薬師岳はカールが美しい.きっと残雪期には素晴らしい斜面に化けるのだろう.
百名山84座目は薬師岳でした.北ノ俣岳の分岐からちょうど2時間.かなりいいペースで来れて満足.帰りも来た道を戻るだけだ.
近いようで遠いし,遠いようで近い.また復路の目標タイムも2時間に設定する.
再び太郎平小屋まで1時間.バッチを購入してさっさと退散.バッチはいいと思ったのを惜しみなく買うことにしている.
ここの分岐を左に行くと薬師沢,右に行くと北ノ俣岳.憧れの周回ルートは次回のお楽しみにとっておこう.
グッバイ薬師.天気も景色も良かったとはいえ,やはりこの山行において薬師岳は蛇足感があったかもしれない.
昼が近くなり,雲が湧いてきた.やや空腹感を感じエネルギーが足りていない.分岐で飯を食おう.
またもやちょうど2時間で戻ってきた.薬師岳ピストンで4時間.満足でござる!!ぱっさぱさになったコンビニのおにぎりが余っていたので腹に詰め込んだ.それにしても天国のような場所だったな…まと来よう!!
デポしてた重りを装着して下山開始!!途端に足の制御が効かなくなって笑う
登山口まで距離は長いがほぼ下りなので気は楽.
行きは辛く感じた登りも下りは早い.
しかし水平移動区間は集中が切れてダルかった.
無我の境地に達しているといつのまにやら下山.お疲れ様でした!!
しかし核心部は何と言っても帰りのバイク.ぶっ通しで運転するのは性に合わないので高山でかつ丼,郡上で温泉に入ったりしてダラダラしたが,なんとかギリギリ日が回る前に京都に帰還できた.
終わり