【レビュー】冬山でPROTON LT HOODYの保温性能が素晴らしい件【ARC’TERYX】

化繊インサレーション.これは化繊綿で作られた保温着の総称である.近年は素材の機能性が進化したこともあり,冬の保温着にはダウンジャケットよりもメリットが多く注目が集まっている.冬でも活動する山屋の私としてはこういった化繊綿のジャケットがどうしても欲しかった.選ばれたのはアークテリクス(ARCTERYX)のプロトンLTフーディ(PROTON LT HOODY).今回はこのジャケットを購入して3年が経過したのでその性能と魅力をレビューしようと思う.

目次

スペックとサイズ感

スペック

私はBlackのSサイズを購入した.

・サイズ:XS~XXL
・重量:375g(実測371.5g)
・価格:34,100円(税込み)

通気性のある保温素材を使用したプロトンLTは、山で激しく動くときのウェアとして開発されました。運動量の多いときでも体が暑くなりすぎず、体温を常に最適に保ってくれるミッドレイヤーとして機能します。高通気性インサレーションウェアには、余計な熱と湿気を発散させる機能が必要。それは通気性の高い生地と保温素材の組み合わせによって実現します。表地のフォーティアス™ エア 20 は、非常に通気性が高いことに加え、他に類を見ないほど耐摩耗性が高く、摩耗試験では業界基準の60倍以上の耐久性を示しました。保温素材のコアロフト™ コンパクト 80 は、ストレッチ性にも優れています。着るだけで体になじみ、着用したままアクティビティに集中できます。ノンスリップジップ™ 採用で、メインジッパーが自然に開いてしまうのを防いでいます。保温性のあるフードはヘルメット対応。身につけたままアクティビティに集中できます。

アークテリクスHPより引用

プロトンLTフーディの位置づけとしては軽く先に触れた通り,化繊インサレーションジャケットの一角を担っている.他にも同社からは代表的なアトムARやアトムLTを始めとした様々な化繊インサレーションが展開されているが,このプロトンLTフーディの特徴は保温性のみならず通気性も重視している点に他ならない.

2022.9.13追記
価格が改訂され,定価が33,000円→34,100円となっています.

サイズ感

身長172cm,体重58kgの痩せ型体型の私でSサイズはこのような着用感になる.流石に規格を海外に合わせているだけあって日本のMサイズ相当といった感じだ.着心地は最高の一言.アークの十八番の立体裁断のお陰で着ていて全く突っかかりがない.ピチピチでもなければ,ダボダボでもない着心地には驚いた.是非とも一度試着してから購入されることをオススメする.

ちなみにフードは自立し,シルエットが美しいのも気に入ったポイントだ.

金峰山にて(1月)

使用感

重量

Sサイズを実測すると371.5gだった.この重量そのものはさほど問題ではない.この手のジャケットは当然保温性の高いものほど重くなる.

温度域

遠見尾根にて(3月)

プロトンLTをアウター,中にベースと薄いミドルを着用し,無風の条件下で運動している場合は-15℃~5℃くらいだろう.(ちなみに風が吹けば風速1m/sで体感温度が1℃下がる)

山で着用できるのは降雪前の10月くらいから雪解け前後の6月くらいまでだろうか.気温がゴリゴリに低い場合はハードシェルも合わせて羽織ることになるし概ね冬季の温度域はカバーしてくれていると思う.

逆にプロトンLTを着て行動していると汗が噴き出てくるかどうかの気温は5℃前後といった感じだ.冬山においてこの汗は死活問題となり得るので必要以上の保温性能は必要ないのだ.そういう意味で適度に通気性を確保したプロトンLTは最高の選択と言えるかもしれない.

2022.9.13追記
気温が低くても山スキー等で汗が噴き出るような高強度のラッセルをしていると流石にプロトンLTは暑い.プロトンFLやFinetrackのポリゴン2ULが今は気になります.個人によって寒さの耐性は異なるので慎重に.

南駒ケ岳にて(5月)

プロトンLT VS アトムLT

ポイントはどれくらいの運動量で行動するか?ということ.常に動き回るのならプロトンLTの方が良いし,平常時の運動しない時間も多くなるテント泊,小屋泊ならアトムLTの方が優位だろう.私は泊装備ではどの道持参するであろう別の保温着でデメリットを賄える点を鑑みてプロトンLTを選択した.

しかし結局のところ突き詰めると,中に着るウェアによっても感じる性能は変わってくるのでアトムLTとプロトンLTでは大きな違いがないとも言えるのかもしれない.実際,私の山仲間たちはアトムLTを選択.彼らは活動時の寒さ耐性が私よりも高く,行動中に着るミドルを一着少なくできるという狙いもあったようだ.

下の写真は10月下旬に北アに雪を見に行った時のものだが,気温-2℃,風速7m/s近い風の中みんな化繊インサレーション(アトムLT×2,プロトンLT×1)を着て稜線を歩いていたが全員寒くはなかった.

プロトンLTかアトムLTか…山ではレイヤリングのトータルコーディネートが必要であることは間違いない.是非できるだけ店舗に足を運んで試着してみて欲しい.

三俣蓮華岳にて(10月)
薙刀山にて(3月)
野伏ヶ岳にて(2月)

ちなみに蛇足ではあるが,街での着用を考えた際には降雪量が多い日本海側や北海道に住んでいるならアトムAR,その他の地域ならプロトンLTかアトムLTを私は選ぶと思う.というか…国内ではオーバースペックすぎる極地用のダウンを街で着ている人もいっぱいいるので好きなのを買えばいいというのが本音だ(笑).

まとめ

以上,アークテリクスのプロトンLTフーディの紹介でした.アクティブな山行をされる方には断然オススメです.保温性と通気性のバランスが良く,アウターとしてもミドルとしても使え,着用できる期間も長いのが素晴らしい.さらにダウンとは違って気軽に洗濯して清潔に使えるお手軽さは一度体験するとやめられないですね(笑).

悪沢岳にて(11月)
鷲羽岳にて(10月)

終わり

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