今回スイスにやってきた目的は、オートルートを歩くこと。フランスのChamonix(シャモニー)からスイスのZermatt(ツェルマット)まで、アルプスの山々を越えながら歩いていく。今回の旅では、このオートルートを自分の足で歩くことを最大の目的にした。
ただ、旅行を計画し始めて早々に問題が発生した。
オートルート上の宿が全然取れないのである。
今回、航空券を予約したのは出発の3か月ほど前。飛行機はなぜかHISのバラ売りを組み合わせる買い方が一番安く、往復21.9万円だった。航空券については無事に確保できたので、「これであとは宿を取ればいい」と思っていた。ところが、オートルート上の宿を調べてみると、どうやら山小屋などは1年ほど前から予約しておかないと、かなり厳しいらしい。そんなことを知らずに旅行の計画を立てていたので、ここからどうするかをかなり考えることになった。
本来ならChamonix(シャモニー)からZermatt(ツェルマット)まで歩き通したい。それは変えたくなかったので、考えた結果、毎日山を下りて町の宿に泊まるという作戦にした。これならどうにか4泊5日でChamonix(シャモニー)からZermatt(ツェルマット)までつなげることができる。その代わり、当然ながらかなりの強行軍になる。本来のオートルートだと200km程度あるところを、この方法なら全体で160km程度まで短縮できる。かなり無茶なルートにはなってしまったが、「どうにか行けなくはない」というところまで持っていくことができた。

関西空港からDoha(ドーハ)へ
2026.8.7(金)
この日は有給を取得して、夕方に関西空港へ向かった。お盆休みの1日前ということもあって混雑しているかと思ったが、思ったより空いていて、割と快適だった。最近、関西空港に来るたびに少しずつ変わっている気がするが、今回もこれまであったカードラウンジが廃止され、出国検査後に入れるラウンジは1か所に集約されていた。飲めるものはコーヒーやソフトドリンクなど、そこまで大きな変化はない。ただ、アルコールを使わないカクテルドリンクのようなものを作れるようになっていたのは、ちょっとした新ポイントだった。

そんな感じで飛行機を待っていたのだが、今回も案の定、予定どおりにはいかない。約1時間の遅延で、結局19時半過ぎまで待つことになった。今回利用する航空会社はカタール航空。19:30頃にボーディングし、20:00頃に関西空港を出発した。ここからDoha(ドーハ)まで約10時間である。
カタール航空を利用するのは今回が初めてだったが、機内サービスはかなり充実していた。ブランケットはもちろん、アイマスク、耳栓、歯ブラシセット、さらには寝るとき用の靴下まで用意されている。映画のレパートリーも多く、さらに日本語で見られるものもかなりある。大阪からDoha(ドーハ)まで10時間、Doha(ドーハ)からGeneva(ジュネーブ)までさらに6時間程度なので、合計16時間ほど飛行機で過ごすことになる。機内食も大阪~Doha(ドーハ)便で2食、Doha(ドーハ)~Geneva(ジュネーブ)便で2食出るので、長時間のフライトでも食事に困ることはなかった。座席も、普段利用する航空会社より少し広く感じた。


そして今回かなり良かったのが、無料のStarlink Wi-Fi。機内にいながらスマートフォンを普通に触ることができる。映画を見るものがなかったとしても、地上にいるときと同じような感覚でネットを使えるので、長時間のフライトではかなり快適だった。
そんな感じで10時間ほど過ごし、8月8日0:30頃、Doha(ドーハ)に到着した。

Doha(ドーハ)空港で空港泊
2026.8.8(土)

飛行機から出ると、砂漠の国ということもあって、めちゃくちゃムワッとした暑さを感じた。もっと乾燥した暑さを想像していたのだが、実際には日本に似たような暑さで、知っている暑さだった。
ここからGeneva(ジュネーブ)行きのフライトは翌朝。本来ならDoha(ドーハ)の空港を出て街中の宿に泊まることも考えていたが、そうすると夜中に空港を出てホテルまで移動し、寝て、また朝に空港へ戻ってくることになる。ただ寝るためだけにこれはかなり大変なので、今回は空港泊を選んだ。
Doha(ドーハ)の空港はかなり広くて綺麗な空港なのだが、普通の座席は体を横にして寝られるようなスタイルではない。軒並みイケず肘置きが設置されている。そこで事前リサーチしていたQuiet Roomという仮眠スペースへGO。真っ暗な部屋の中にリクライニングチェアのような寝っ転がれる椅子が1部屋に30席くらい置いてあるような部屋だった。ここで辛うじて3時間程度は寝ることができた。

一方で、Doha(ドーハ)のハマド国際空港は、空港泊をするだけで終わらせるにはもったいないくらい面白い空港だった。中東のハブ空港ということもあって、空港内には植物園のような謎の公園のようなエリアに謎の建築とアートが組み合わさっていたりする。「これ、本当に空港なのか?」と思うような現代的な建築とアートが融合した不思議な空間で、結構感激した。水も無料で飲めるので、空港泊としては割と快適に過ごせたと思う。


せっかくカタールまで来たので、朝飯くらいはカタールらしい料理を食べようということで、マサラチャパティなるものを食べてみた。確か1,600円くらいだったと思う。これがかなり美味かった。今回の旅全体を振り返っても、残念ながら上位に入るくらいの美味さと言っても良いくらいだ。逆に言えば、この後のスイスの飯がそこまで美味しくなかったということでもある…

朝飯を食べたところで、再び飛行機へ。ここからさらに6時間程度のフライトである。Geneva(ジュネーブ)へ向かう途中では、初めてヨーロッパアルプスとご対面。もっと雪で真っ白な山々がひたすら続いているのかと思っていたのだが、実際に見てみると、思ったより雪がない。もちろん氷河や雪の残った山もある。しかし第一印象としてはゴツゴツした岩山がひたすら続いているような感じだ。いわゆる地球温暖化ってやつを目の当たりした気がした。
Geneva(ジュネーブ)からChamonix(シャモニー)へ
Geneva(ジュネーブ)に到着。Chamonix(シャモニー)行きのバスは16:30に予約していたので、それまで空港で少し時間を潰す。覗いた売店で物価の相場を掴もう。とりあえず、コーラの値段…
3.45CHF。日本円で約700円…
完全に空港価格ではあるにしてもヤバい…スイスの街中で売っているコーラは概ね300~400円くらいなので、空港では倍くらいの値段になっているにしてもだろう。今後、間違いなく飢える旅になるなと「分からされ」かなり憂鬱になってしまった。
今回の通信手段については、日本にいるうちにeSIMを契約しておいた。利用したのはSailyで、今回の旅はフランス、イタリア、スイスと複数の国をまたぐためヨーロッパ全域で使えるものにした。空港で契約するとかなり高い値段を取られる可能性もあるので、日本にいるうちに準備しておいた。料金は4,000円くらい。普段の海外旅行なら1,000円程度でSIMカードを使えることを考えると高いといえば高いが、今回はデータも無制限にしたので、まあ仕方ないかなと思う。
16:30、Chamonix(シャモニー)行きのバスが出発した。今回利用したのはSwiss Toursで、ネットから予約して片道3,000円ほど。所要時間は1時間半程度だった。乗客は意外と少なく、割と快適なバス移動だった。
陸路での国境越えは今回が初めてだったのだがほとんど知らん間にフランスへは入国していてかなり残念。軽い高速の料金所みたいなゲートがあっただけ。もはや国境を越えたことすら気づかない。しかし、国境越えというものに利便性を差し置いて情緒を求めるのは筋違いなのだろう。

Chamonix(シャモニー)が近づいてくると、当然のように周囲は山になっていく。両側に山がそびえ立つようになり、景色もかなり雄大になってきた。そして最後に到着するChamonix(シャモニー)は、もちろんMont Blanc(モンブラン)のお膝元。Mont Blanc(モンブラン)が抱える氷河もバスの中から見ることができた。飛行機から見るアルプスはあまり凄みを感じられてなかったが、仰ぎ見る山々を見て初めてようやくアルプスまで来たという実感が湧いてきた。

Chamonix(シャモニー)着弾
Chamonix(シャモニー)に到着したのは18:10。Geneva(ジュネーブ)から結局1時間40分ほどかかった。日本なら18時といえば普通に夕方だが、こちらでは20時半頃まで明るいので、18時くらいならまだまだ全然明るい。予定詰め詰めの自分にとってはこの日の沈む遅さに心底救われた。
Chamonix(シャモニー)は山登りをする人だけの街ではなく、普通の観光地でもある。本当はもう少しゆっくり始まりの地を噛みしめたかったというのが本音だ。実際大通りにはかなり人がいて、歩いているだけでも結構楽しそうだった。しかし、今回はそんな時間がない。早くも明日にはトレッキングが始まってしまうのだ。
さらに心残りを挙げるなら、Chamonix(シャモニー)のアウトドアショップを全く見られなかったこと。Arc’teryxやPatagoniaなど、名だたるアウトドアブランドのショップがたくさんあるので、店を一つずつ見て、Chamonix(シャモニー)限定の商品などがあるかは知らないが、店内を物色してみたかった。



到着して早々、荷物を抱えたままスーパーへ行って買い出し。やるべきタスクは淡々とこなさなければならない。スーパーでは生ハム、バナナ、コーラ、長期保存できる非常食用のクッキーやOREOなどを購入した。後から考えると、このときの買い物は相当重要だった。フランスのスーパーはスイスより圧倒的に安かったので、Chamonix(シャモニー)でできるだけ食料を買っておけばよかったということ。この先々のスーパーの品ぞろえの悪さが悪いのなんのということ。
そして、ここで装備面でも一つ問題が発覚。今回使っていたザックはPAAGO WORKSのRUSH 30で、日本からすでにパンパンの状態。現地で食料を入れる隙間がほとんどない。結局、サブザックとして持ってきたペラペラのザックをRUSH 30の外側にあるバンジーコードで無理やり外付けし、そこに食料を入れて歩く羽目になってしまった。ロングトレイルを意識してかなり小さくまとめたが、大人しく40Lのザックでも良かった気はする…
Chamonix(シャモニー)でチーズフォンデュ
買い出しを終えたら晩飯。明日から歩くので、さすがに何も食わずに寝るわけにはいかない。せっかくChamonix(シャモニー)まで来たので、最初に食べる飯くらいは現地らしいものにしようということで、チーズフォンデュを食べることにした。
チーズフォンデュというと、日本では大きなポットでコトコトとチーズを大量に溶かして、そこに具材を入れて食べるようなイメージがある。ところが、実際に出てきたものは少し違った。1人前のチーズフォンデュは、直径8cm、厚さ3cmくらいの円柱状のチーズをオーブンで溶かしたようなもの。それにパンや生ハムをつけて食べる。
「これがチーズフォンデュの実態なのか」と思った。
味はまあまあ美味しい。ただ、チーズが重い。ねっとりしていて、口の中にかなり残る。そして何より、チーズが1回の食事で食べる量としては致死量を超えているようなイメージだった。かなり食べたところで、正直気持ち悪くなってしまった。もちろん、もっと美味しいチーズフォンデュもあるのかもしれないが、今回の旅を通してチーズフォンデュを食べたのは、結局これが最初で最後だった。そしてこれでモリモリ動いている欧州人はすごいと思った。

21時、ようやく宿へ
晩飯を終えて、ようやく宿(Le Chamoniard Volant)へ。安定の安さを求めた結果のドミトリーで、料金は33.76ユーロ、日本円にして6,000円ちょっとだった。値段を考えれば当然なのだが、宿の印象はかなりシンプル。
同じ部屋に15人くらい寝られるような空間にベッドが並び、枕と薄いブランケットのようなものが置いてある。それでも、この日はもう十分だった。シャワーを浴びて、そのまま気絶するように眠りに付いた。


終わり
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