ゲレンデを滑る用のアルペンブーツでも山スキーをすることは…
結論から言うと可能です!!
しかし言うまでもなく並々ならぬ労力と体力が必要です.
そして時には登れないコンディションがあるのも事実.
今回は山スキーを始めたいけれどお金がない,機材がない貴方に私の試行錯誤の泥臭い山スキーのスタイルを紹介します(笑)
山行の流れ
準備
もちろんシールもビンディングもない私たちは登山口からドロップポイントまで板もブーツも全て担ぎ上げます.スキーをザックに取り付けて登ることをシートラーゲン(Schi Tragen),通称シートラと言うのですがザックによっては取り付けられないものもあるので注意が必要.山行の前に家で確認しておいて下さい.
ちなみにブーツにはスキーに装着して流れ止めをひっこっめる役割もあります.流れ止めが跳ね上がった状態だと上手くザックに取り付けられないはず…
最後にスキーのトップを固定すれば準備完了です!!
ちなみにアルペンブーツでのアプローチも不可能ではないですが私の経験からいうとザラメなら片道4km,500ⅿUPくらいまでが限界です(笑)
登り
登りは他の山スキーや冬山登山と同様.ルートには何も違いはないですが,ただただ重いので登坂スピードは必然的に落ちます.また担ぐ荷物が重いこともあり,踏み後を辿っても踏み抜くこともシバシバ.
装備の換装
ドロップポイントに到着したら履いてきた冬靴をブーツに履き替えます.この装備の換装はやたらと時間がかかって最初のうちは少なくとも20分くらいは見積もっておきましょう.ワカン&アイゼン&ゲイター装着していた冬靴をブーツに履き替える作業は中々大変です…天気が良いと問題ないけど強風,降雪,低温,ガス等の悪条件下で素足に近い状態になるのは相当リスキー.条件が悪いときは諦めてゲレンデスキーしましょう(笑)
履いてきた冬靴をザックにぶち込みます.この時冬靴がザックに入らないと詰んでしまうのでこれも山行前に収納可能か要確認.
滑り出し
滑走は他の山スキーヤーと変わらず.むしろアルペンブーツにアルペンビンディングなので最も滑り重視の型とも言えるでしょう(笑)しかし登り返しのあるルートは避けたいところ…いくら元気でもおかわりにもう一本!!とはなりにくいはずです.ブーツのまま下山できるルートがベスト.
下山
時期が遅くて雪が繋がっていなかったり,登り返しがあるルートでは板を担いで歩くことも.しかし無事に下山できるなら何でもOKです!!
装備の重さの違い
通常の装備以上に野暮ったくなるのがこのフルシートラのスタイル.余分なものはいくつかあってその分重くなるのだが具体的にはどれくらい違うのだろうか?ここでは私の装備の例を挙げようと思う.
〇フルシートラ
・冬靴(スカルパ/モンブランプロGTX):2054g
・ゲイター(OR/クロコゲイター):278g
・ブーツ(サロモン/XMAX120):2055g×2=4100g
・ビンディング(マーカー/グリフォン):1900g(ペア)
→合計8332g
〇通常(私の購入予定の品で計算)
・ブーツ(サロモン/シフトPRO130):1670g(ペア)
・ビンディング(マーカー/キングピン):690g×2=1380g
・シール(ポモカ/青):264g(1350g/㎡を元に計算)
→合計3314g
もう一目瞭然であろう.実に約5kgも差があるのは驚きである(笑)しかもフルシートラの場合は通常の山スキーと違って登坂の良さを使えず,常に背で支えないとならないので辛さは数値以上のはずだ.
適した時期
え~バッサリ言うとパウダーは諦めましょう(笑)
パウダーは諦めて残雪期のザラメ狙いというのが私のこのスタイルの結論.この装備でツボ足だと埋まって仕方がないのと装備の換装を深雪で行うのはかなりキツイです.
なにぃ??BCスノーボーダーはスノーシューで登って降りるって??
短い距離くらいならなんとかなるかも…私はオススメしないけどあくまでも自己責任で行ってほしい(笑).
2月の末.登山口から予想外に前日積もったパウダーで全く進めず.テレマーカーの先輩に山スキーの修行に連れてきてもらっていたのだが,私のシートラザックを背負ってもらうことに…ただただ申し訳なかったというのはいい思い出である(笑)
残雪期は気候が良い日も多く山スキーに挑戦しやすいのもメリット.日によっては半袖なんてことも.
まとめ
山スキーには装備がうん十万とかかるので気軽に試すというのは中々難しい.そこでこのスタイルで入山を試みるに至ったがやはり一般にはこういうスタイルの山スキーは少ないようだ.しかしこのスタイルでしか分からないことや経験値も貯めることができたのは何よりの収穫だったように思う.
とはいえ,サロモンの佐々木明氏はアルペンブーツの抜群のパフォーマンスを求めてアルパイントレッカ―を使っているらしいが…一般人の我々とはまた別次元のお話…
終わり
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