北海道を原付でツーリングする.
そんなぶっ飛んだことをする変態は恐らくそういないだろう.しかし考えてみてほしい,一番簡単に安く手に入れられるエンジン付きの乗り物となると原付しかない.そんな発想に至るのはほとんど学生ではないだろうか…
このブログを開いたあなたも変態の一人である素質は十分持っている(最大の誉め言葉).ここでは北海道を原付で乗り切るためのノウハウを書こうと思う.この記事が旅する学生のヒントになれば幸いだ.
目次
ツーリングに適したのはいつ?
夏休みに行くというのが王道で確実.ただ盆休みは社会人との休みが重なり,各地が人でごった返すのであまりオススメできない.またここ3年くらいの傾向として,盆休みに北海道へ向かったライダーの「連日雨で詰んだ…寒い…」というTwitterの投稿を数多く目にした.そのため気候が比較的安定9月が最高だと私は思う.しかも9月はフェリーの運賃も安くなるうえ山では紅葉が始まるのでオススメだ.
台風はもちろん懸念すべき事項であるが,近年8月だろうが9月だろうがあまり関係なく日本にやって来るのでその都度対応するしかない…(北海道は台風が来ないとされているが台風から熱帯低気圧に成り下がったものでもライダーにとっては同じ懸念材料)
雨との付き合い方
バイクで走る以上,雨は最も避けなくてはならない障害の一つとなる.北海道全域が雨ならライダーハウスで留まるくらいしかやり過ごす方法がない.しかし留まる日数が増えれば増えるほど滞在費はかさんでくる…
そのため,可能な限り雨を避けて走るということが必要となる.北海道は面積が広いので同じ日でも晴れている所や雨が降っているところがあるので,雨雲レーダーを見ながら雨雲の間隙を突いて進むことができる.自ら晴れ男(女)になりにいけばいいわけだ!
お手軽なのはヤフーの天気アプリ.15時間先まで雨雲の動向を掴むことができる.玄人向けにはWindyをおすすめしたい.ECMWFがあらゆる天気の情報を閲覧することができる.
雨に備えた装備
上で述べたように天気に従って行動していてもどうしても雨にかち合う局面は出てくる.不意打ちでやられることもあるのでここの装備だけは抜かりなく準備したい.
レインウェア
北海道ツーリングだけなら安く揃えられるワークマンで手に入れると良い.この先もツーリングにはまる予定があるなら多少値は張るがモンベル等のアウトドアショップでゴアッテクスのものを調達できれば銭失いをすることはないだろう.
長靴
あるとないで大違い.安心して運転できる. 荷物にはなるがいつでも雨を迎え撃つことができるので装備しておく他ないだろう.リンクを張ったモデルは私も実際に使っているモノ.長靴の割に軽いし,つや消しなのでオススメ.長期のキャンプツーリングのたびに持ち出しているが2年たっても未だ現役.
手袋
峠で雨を食らうと夏でもかなり寒い.通常,バイクの転倒に備えてプロテクション機能のあるグローブを身に着けるがこうしたグローブは革性で雨に打たれるとすぐにずぶ濡れになってしまう.そこで防水手袋のテムレスが一組購入しておこう.ただしテムレスは防御力が皆無なので長時間の運転はあまりオススメはしない…
フルフェイスヘルメット
半ヘルを被ったライダーはいない!ホームセンターのものでもいいので持っておきたい.また風雨を凌ぐだけでなく北海道にとりわけ多い羽虫との激突からも守ってくれる. 転ぶと顎が削れるので迷わずフルフェイスを選ぶようにしよう.
最適なプランニング
上で述べたように,雨というものは不意にやって来る.天気に応じた旅をこなす上で「目的地がどこにあるか」位置関係を正確に把握しておくとよい.ここの詰めが甘いと後々痛い目に合う.また利尻島や礼文島等の離島へのフェリーは天候に大きく左右される点も注意したい.
また,「フェリーを往路だけ予約しておく」とういのも選択肢の一つだ.雨で停滞したとしても帰りのフェリーの日にちが決まっていないとかなり柔軟に旅程を変更することもできるようになる.ただし盆休み等のハイシーズンでは復路のフェリーの予約が取れない可能性もあるので注意しよう.旅程次第では苫小牧―敦賀の航路を利用してもおもしろいかもしれない.
北海道だと原付はきっちり「一時間に30km近く進む」ことができるので計画も立てやすい.オススメの場所の情報はインターネットやツイッター,インスタグラムから容易に入手できる.時勢には合わないがツーリングマップルも中々捨てがたく,即座に多くの情報を仕入れられるのでオススメ.自分の走った道をマーカーでなぞるのはめっちゃ楽しいよ!
北海道まで片道14670円
今回の原付旅は友人Yと私の2人旅だった.どちらも関西に拠点があったので当然のことながら舞鶴に発着している新日本海フェリーを利用した.下道で行くというのも時間があれば可能だが,津軽海峡はどの道船で渡る必要もあり,交通量が少ない道を選んでも一日に250kmも走ればくたくたになるのであまりオススメはしない…また原付はフェリーに乗せてもそんなに高くないので,むしろ積極的に利用すべきだろう.さらに学割を取得すれば学生は2割引きになるのでかなり出費を抑えることができる.(車両には割引は適用されないので注意)2018年の夏の時点では原付と人で片道14670円だった.
どこに泊まるか
北海道ツーリングといえばライダーハウス.ライダーハウスであれば一泊2000円もあれば泊まることができ,1000円以下の所もあるという.しかし私たちは出来る限りテント泊で行くことにした.その理由は整備されたキャンプ場が格安で利用できるからだ.場所によっては無料のキャンプ場がざらにある.そのため宿泊費はほぼタダと言っても過言ではないだろう.
またキャンプ場はグーグルマップから調べられるが,他には「ハチノス」という全国のキャンプ場が一覧できるサイトを利用するのもオススメ.
充電どうするか問題
これはほんとに難しい問題.正攻法はライダーハウスでコンセントを借りるというのがよいだろう.しかし今回はテント泊縛りだったのでソーラーパネルを導入してみた.これがいい仕事をしてくれて,快晴の日であればケータイ3~4回充電する分くらいは充電してくれた.ただし,ケータイと直結すると安定して充電されないのでモバイルバッテリーに一度ためておく必要がある.
不自由なく旅を進めるにはバイクのバッテリーから充電できるようにするのが一番いいと思う.
私がソラーパネルを購入したのは2016年だが年々様々な商品が出ているので自身の用途に応じたスペックのものを買うといいだろう.
あなたの原付の航続距離は?
あなたの原付のタンク,何リッターのガソリンが入りますか?北海道は2~300km走らないとガソリンスタンドに辿り着けないということもざらにある.どれくらい走るか一度燃費を算出しておこう.もし2~300km走ることができないなら携行缶を持っていく必要がある.ここは最小の容量の3Lのものを選ぶといいだろう.これだけで安心感は全然違うはず…ガソリンスタンドによっては日曜日は営業していなかったり,夜間の営業は行っていないのでガソリンスタンドの横を通る毎に補給しておけば間違いない.
ちなみに私の原付(ヤマハ,ジョグポシェ)は7Lのタンクで50km/L,友人Yの原付(スズキ,レッツ4)は4Lのタンクだった.私の原付はそこそこ航続距離が長かったため携行缶は持っていかなかったが,2stのバイクだったのでエンジンオイルを欠かさないように補給して走った.
長くて何もない道は北海道ツーリングの魅力の一つだがこんな所でガス欠になると思うとゾッとする.交通量も少ない.バイクがトラブルに陥った際の対処法も調べておくと安心だ.
食費を安く抑える
北海道来たら安くて美味い海鮮いっぱい食えるやん!そう思っていた時期が私にもありました.そう,質の高い料理にはそれなりの対価を支払う必要があるのです…一度覚悟してうに丼を食べに店に入りましたが値段に怖気づいて一番安いミニうに丼(1500円)にしてしまう始末でした….めちゃくちゃ美味かった….並盛のうに丼や海鮮丼食べようもんなら安くても3000円くらいするよ!!か,稼げるようになってまた来よう…
ジリ貧ライダーにとって,北海道の食を一言で言うならセイコーマートです.安いは正義!多分セコマがなければツーリングはまともに成り立たないでしょう.オススメの組み合わせはペペロンチーノと麻婆焼きそば.これだけでお腹いっぱいになるので非常に経済的です.(1食268円はすごくないか!?)
これ以外には白米やパスタを自炊したりもした.
郷に入っては郷に従え
後続車が来たら道を譲る
左ウインカーで減速して道を譲ればOK.頑なに真ん中走ると危ないよ!どこ走っても車の流れは速いです.後続のライダーにも譲ってあげよう.
ヤエーはいいぞ!
対向から走ってくるライダーには積極的にヤエー(ライダー同士のあいさつ)しよう.これをなくして北海道ツーリングは語れない.原付であれば自分自身が旅人だと気づいてもらえない可能性もあるが自分からアクションすればきっと相手のライダーは応えてくれるはず.ただし,峠などの運転のシビアな局面ではこの限りではない.
街の入り口は制限速度が急に落ちる
話を聞いているとかなりの確率でこういうとこに張ったパトカーに捕まるライダーが多いようです…サイン会場は各地にあるので注意…海沿いを気持ちよく走っていて気づいたら町が近づいているので道路標識には十分注意しよう!
夜間の走行はやめておく
主要な幹線道路でも街灯ないです.へぼい原付のライトでは太刀打ちできない…
牧場には立ち入らない
外から来た病原菌のせいで畑全滅なんてこともあるらしい.インスタ映えするからといってズカズカと入っていくのは北の旅人失格と言えます.
生水は飲まない
ツーリングにはあまり関係がないかもしれないが登山の際には注意が必要.蛇口から出てくる水は大丈夫!生水を飲まざるをえない状況があれば煮沸して飲むようにしよう.エキノコックス怖すぎ!
野生動物には餌付けしない
ツーリングしていると人懐っこいキツネに出会うことがかなりあるが,餌付けはやめておこう.彼らにとってその場しのぎになっても後々痛い目にあうことになる.人の食べ物を求め,人里に降りてきたキツネが車に引かれることも多い.エキノコックスをはじめとした病原菌を持っているので触るのもやめておこう.
山に入る際には熊鈴と熊スプレーを携帯
山に入る際はヒグマの生活圏にお邪魔させて頂いてることを忘れないようにしよう.道端でばったりであっても食べ物を投げたりするのは言語道断.またツーリングで訪れがちの知床を始め,旭岳や黒岳のロープウェイで簡単に入山できる箇所も多数あるので是非とも携行しておきたい.
終わりに
私の原付北海道ツーリングは15泊16日で以下のようなルートを走った.興部では当時猛威を振るった台風11号に見舞われたし,斜里では北海道胆振東部地震の影響でガソリンやら食糧やらが手に入らないトラブルもあって大変だった.しかし振り返ってみるとそれも込みで楽しいツーリングだったように思う.ルートは地震の影響が大きかった苫小牧周辺を迂回するように変更している.
行程詳細(総走行距離:2536.7km)
日付 | 行程 | 天気 | 走行距離 |
---|---|---|---|
8.30 | 自宅→舞鶴 | ||
8.31 | →小樽 | ||
9.1 | 小樽→初山別 | 晴れ | 240km |
9.2 | 初山別→礼文島→利尻島 | 晴れ | 201km |
9.3 | 利尻富士登山→稚内 | 晴れ | 67km |
9.4 | 稚内→宗谷岬→興部 | 雨のち曇り | 205km |
9.5 | 興部→斜里 | 晴れ | 238km |
9.6 | 斜里岳登山→知床 | 晴れ | 89km |
9.7 | 羅臼岳登山→標津 | 晴れのち雨 | 115km |
9.8 | 標津→阿寒 | 曇りのち晴れ | 186km |
9.9 | 雌阿寒岳登山→足寄 | 雨のち曇り | 80km |
9.10 | 足寄→帯広→狩勝峠 | 雨 | 139km |
9.11 | 狩勝峠→旭川 | 晴れ | 180km |
9.12 | 旭川→月形 | 晴れ | 169km |
9.13 | 月形→札幌→俱知安 | 晴れ | 162km |
9.14 | 羊蹄山登山→小樽 | 晴れ | 126km |
9.15 | →舞鶴→自宅 |
見どころはほぼ抑えて,北海道各地の山も登りながらの旅でかかった総額が95688円だったことを考えるとかなり安く抑えられたのではないかと思う.ガソリン代が安いのも原付ならではのメリット!離島に行くことをやめればもっと旅費は安くなる.また山に行かない場合は納沙布岬や襟裳岬,道南を攻めるのもオススメ!
旅費・詳細
食費 | 27819円 |
温泉 | 3950円 |
ガソリン | 7703円 |
テントサイト料 | 2985円 |
舞鶴-小樽往復 | 29520円 |
稚内‐礼文島 | 4720円 |
礼文島‐利尻島 | 2680円 |
利尻島‐稚内 | 4540円 |
その他(土産等) | 11771円 |
∑ | 95688円 |
---|
やはりフェリー代が支出の大部分を占めている.また二日に一回ほど温泉に入っていたが北海道は温泉が安く,場所によっては無料の温泉もあり,かなり安上がりに仕上げることができた.
まとめ
原付で旅することで金銭的ハードルはぐっと下げることが出来る.レンタカーを使えば,ホテルに泊まれば…もっと快適な旅ができるのは疑いようのない事実だ.不自由な旅は成熟させていくと快適な旅行と成るが,時間のある今だからこそ不自由な制約のある旅を楽しんでもらいたい.
終わり
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