2018.8.21~22
2018年の夏,私は山荘のメンテナンスのためスキー部の連中と白馬に来ていた.例年冬ごもりのため4日程,山荘に防腐剤を塗ったり,山荘周辺の草刈や布団干し,備品の整理などを行う.しかしせっかく白馬まで来てメンテナンスだけして下宿のある京都に帰るのはもったいない.
そうだ!乗鞍に行こう!
白馬まで部員は車で現地に直行する中,私は京都からひいひい言いながら青春十八切符で輪行した.(朝京都を出て白馬に着いたのは夕方だった…)
メンテナンス作業を無事終えるとお楽しみの自転車旅がスタート!
ルートの詳細
ルートは以下の通り.一泊二日で約215㎞の道のり.言わずもがな乗鞍エコーラインがこのルート最大の山場だ.泊まる場所は特に考えていなかったけどエコーラインを朝一で攻めたかったので夜間通行止めとなる三本滝で野宿することにした.
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装備の大半はエアマットと寝袋.お金のない学生はいつだって野宿になっちゃう.今回は前回の富士山Sea To Summitの反省を踏まえ要らないものは持って行かないようにした.
1日目:白馬~三本滝
小屋閉めが終わった.意気揚々と自転車旅が始まる.
出発は11:00と遅め.朝晩こそ涼しい白馬だが,昼間になるとそれなりに暑い.といっても都会のような狂った暑さではなく上品な高原の暑さだ.
まずは松本方面を目指して国道148号をひたすら南下する.ここら白馬は通い慣れて目新しいものはなくなってしまった.慣れって恐ろしいものよ!
蛇足だが個人的に白馬の夏は八方尾根スキー場の中腹まで登れるグリーンシーズン限定の黒菱林道をヒルクライムして八方池まで散策するのがオススメ.
148号は松本と糸魚川を貫く国道とあってさすがに交通量は多い.しかし信号も少なく流れは非常にスムーズ.巻き込み風を糧にドンドン進める.そして進路を北アルプスパノラマロードへ.残念ながらアルプスは雲の中.やはり朝が勝負なのは間違いないようだ.
アルプスさえ見えていればどこを切り取ってもいい画が撮れるのだが今回は時間も遅かったのでただの川沿いの道といった所.特に立ち止ることなくサーっと流す.
松本に近くなるにつれて暑くなってきた.早く標高を上げて涼しくなりたかったので先を急ぐ.意外と白馬~松本は距離があって思うように進まないのがもどかしい.
松本手前で街を避けるように徐々に山へと進路を取る.ここらは交通量の多い幹線道路を少し外すだけで日本の原風景のような景色が見られるってのがまたたまらない!
今は田んぼに青々とした稲が育ち,稲の香りと夏の蒸し暑さが駆け抜ける生ぬるい風で混ぜ合わさり五感に訴えかけてくるシーズン.
これは各シーズンの安曇野を制覇したいわね…
段々と山深くなってくると目には見えないが勾配も付き始めペダルにかかる負荷が確実に増してきているのが分かる.しかし太陽も傾き始め,時刻はすでに16:00.
こりゃあ真っ暗な中まで走らなあかんやつや…
北アルプスへの玄関口でお馴染みの新島々.電車だとここが終点でバスに乗り換えて上高地や新穂高なんかに向かう.
マイカーの人はさらにその奥にある沢渡で車を止め,バスに乗り換えて向かうのが定石だ.
上高地方面への車がここらで少なくなるとはいえ,松本から岐阜県高山へと抜ける国道158号は交通の要所.さすがにバスやトラックが多く,狭くてうねうねした酷道を後続車に怯えながら高度を上げていかねばならない.
自転車乗りにとって冷や冷やしながら乗鞍を目指さなければならないのはあまりにも有名な話だ.
そして個人的にそのハイライトがこれ.奈川渡ダム手前にあるトンネル内の分岐だ.これ初見で迷ってると事故するやつよ?
しっかり写真を撮りたかったけれど,あまりにも危なかったのでケータイでさっと撮るくらいしか余裕がない.
トンネルを抜けると深い青色をした梓湖がお出迎え.北アルプスの雪解け水がここに集結しているだけあってかなり澄んでいる.
高度も高くなり,日も落ちてきたので自転車を漕ぐにはいい気温になってきた.しかし三本滝まではまだ20km…
案の定暗い中走ることに.ずーっと登りではあるが無茶な勾配の坂はなく,息が乱れないよう一定で登ればそんなにしんどくはない.休暇村周辺で香ってきた硫黄臭についつい釣られそうになったが謎に我慢して先を目指す.
振り返ってみると温泉に入っておけばよかったと後悔…
三本滝の駐車場に到着した頃には 灯りがないと進めない暗さになっていた.しかしキャットアイのVolt800が優秀すぎてなんら問題なし.
闇の中一人,適当にスーパーで買ってきた飯を食べ明日に備える.寝床はもちろんベンチ.
Good Night!
2日目:三本滝~乗鞍岳~下呂温泉
朝は三本滝のゲートが開く前に起床.思ったよりしっかりと眠れて体調もよい.
ゲートが開くのは6:00からで朝飯を食いながら気長に待つ.他に開店凸を試みる自転車乗りはいないので大分気が楽だ.
やがて時間が近づき,ゲートを管理しているおっちゃんが5分ほど早くゲートを開けてくれた.
乗鞍エコーライン
乗鞍エコーライン,クライムオン!
始めはMt.乗鞍スノーリゾートのコース内を縫うように高度を上げていく.勾配は全くきつくない.
天気も上々!雲が湧いてこないうちに堪能してやるぜ!
こういう景色を見るとついつい写真を撮りたくなるのが自転車乗りの性.まだ始まったばかりだというのに幸せだぞ?
道幅は細いものの落石等の障害物もなくきれい.しかも舗装もかなり上手いのでストレスフリーでヒルクライムを楽しめる.
程なくして,位ヶ原山荘.全く休む必要もないのでここは軽くスルー.山並みの向こうには今回のゴールがそびえてる.
振り返ると…このつづら折り.道マニアにはたまらん…
最高すぎる!何より他に誰もいないってのが素晴らしい.カーブを一つずつ登り詰めていく毎に少しずつ気温は下がって山岳地帯のそれになってきた.半袖ではもう寒いほど.思わず上着を羽織る.
これはマイカー規制にして正解よ.ここが一般道だと渋滞で天国から地獄に変わりそう.
あ~~~~申し訳ないっっ!!
楽しすぎて全く疲れない.クライマーズハイ万歳!!!
肩の小屋口まで来た.8月にもなると大雪渓の雪もほとんど残ってない.いつかここで春スキーしてみたいところ.
最後の登り.景色を噛みしめながら進む.
県境まで来ました!やりました!7:40,エコーラインアタック終幕です.
剣ヶ峰アッタク
君たち,ここまで来たらやることは分かるな?
そう,乗鞍岳の頂上・剣ヶ峰は行かんとならんでしょ?
県境から頂上まではコースタイム75分で300mUPだけ.
これは行くしかない.
休む間もなく準備して頂上へ.自転車は邪魔にならないところに地球ロック.
天上の楽園とはこのこと.人を山登りという沼にはめるならここに連れてくるのが…オススメです…
肩の小屋までは平行移動が続く.バグってくるスケール感を楽しめます(笑)
肩の小屋が見えてきた.
ここからが本格的な登り.登るのが嫌な人はここまででいいから来て欲しい.
登山道はかなり整備されていて迷う心配もない.ただ転倒して足をぐねらないようにしたいところ.
実は乗鞍岳これが2回目.小5のときに家族で畳平までバスで来て登ったけど時間も遅くてガスの中やった.記憶こそ残ってるもののこんなにいい場所やったとは…
稜線まで登りきると肩の小屋はあんなにも小さく.
そして頂上も目前.
いやっっつふぉおいい!!楽しすぎた.
ガスにも巻かれることもなかったしこれは優勝…!!
実は山頂に登ってもまだまだお楽しみはある.すぐにダウンヒルしないように! まず自転車を県境広場から畳平まで持って行って…
自転車ディスプレイにて記念撮影.
専用ラックに自転車を止めて…
お花畑を散歩する!!
乗鞍ヒルクライムは剣ヶ峰とお花畑に行ってこそ完結する訳よ!
8月はちょっと時期が遅くて高山植物も終わりかけだったしこれは是非リベンジしたい.
これでもまだお腹いっぱいにならない人は魔王岳や摩利支天岳に行くといいよ.
乗鞍スカイラインを経て下呂温泉へ
私はお腹いっぱいになったので下山します.ヒルクライムして登山してダウンヒルしてと…楽しみが多すぎる.
行くぜ!!!
おいおいおいおい…まだダウンヒル始まってすらいねぇぜ??
乗鞍岳が良すぎてダウンヒルできない.
スピードが出すぎて良くない…
ゆっくりゆっくりブレーキをかけながら下っていかないとあっという間に幸せが終わってしまう.ゆずの夏色ってきっと乗鞍のこと歌ってたんやな(知らんけど)
最後には焼岳~奥穂の山並みがまたおいでと見送ってくれた.
スカイラインの楽しい区間が終われば後はブレーキをかけることもなく快速下山.高山まではずっと下り道で楽々.しかし気付けばめっちゃ腹が減ってしょうがない.
昼飯は高山まで我慢できずに国道沿いのラーメンラーメンショップへ.速攻でかき込んでしまったが味は…覚えていない…
ついに下界に降りてきてしまった.ここまでくるともう暑くて暑くて…観光したい気もしたが下呂まで漕ぐことを考えて泣く泣くスルーすることに…
けど高山は関西から北アルプスに入るのに絶対通るので次でいいや♡
そんなこんなで高山には来てるけどまともに観光したことがない(笑)
下呂までは灼熱の飛騨川沿いの道をひいひい言いながら南下.岐阜感を満喫しながら漕いでいたものの暑くて暑くて写真も残っておらず…
下呂ではやはり噴泉池へ.クソ暑いなかクソ暑い河原沿いの露天風呂に入るのもいとをかし.こびりついた垢が取れていく感覚はたまらないね.無料だし是非浸かってみて欲しい.
そこからは輪行で京都へ帰還しましたとさ.(いつっも帰りの電車の記憶がほとんどないのってなんでやろ…)
おわり
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