北海道原付ツーリング⑥|道東はスリルでいっぱい

2018.9.7 9日目(ウトロ~羅臼~標津)

羅臼岳アタック

今日は羅臼岳にアタックする.北海道原付ツーリングの山でも特に楽しみしていた山の一つだ.ただ,この山域は知床の核心地域でもあり,熊がわんさかいるので全く気が抜けない.正直…登山口ですらビクビクしていた.

スタートは木下小屋から.標高は230mとかなり低い.

しばらくは陰鬱な樹林帯を我慢して進む.しかも熊がいると気を張っているのでちょっとした物音でもゾワッとする.視界が開けず突然鉢合わせする可能性もあるので怖くてしょうがない(笑).今回の旅で愚かなことに熊撃退スプレーを用意しなかったことを猛烈に後悔した.

弥三吉水の近くでは登山道の修繕をしてくれていたおじさん達のテント村があった.しかしここまでステラリッジが並んでいると壮観だ.熊対策に電気柵で一帯を囲って熊対策はしていたけど果たしてどこまで効果があるのか…本当におじさん達には感謝しかない.

仙人坂まで高度を上げるとようやく視界が開けてきた.羅臼岳の全貌はまだ掴めていないがリッキーはかなりしんどそうだ.本人曰くスプリンター型の肉質なので一度ばてると回復はかなり遅いとのこと.対して私は長距離ランナー型の肉質らしく多少しんどくても少し休めばすぐに回復できるので絶えずリッキーの後ろを歩くことにした.

羅臼岳も火山.斜里岳と同様に頂上は溶岩ドームの岩峰になっている.
羅臼平の北側には1509mの三ツ峰がそびえる.

羅臼平に到着した.

うぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!すげええええええ!!!

突如羅臼岳を捉えて興奮しない訳がない.ハイマツの海に浮かぶピラミッドみたいな感じだ.ここから頂上まではちょうど300m程.もちろん高さの話(笑).いつも遠いようで実は近いとか言ってヘラヘラしているけど今回ばかりはいつになく遠いピークに見える.

天気も上々!!写真だと白飛び気味で分かりにくいが国後島もはっきり見える.近くて遠い存在は決して山頂だけの話ではない.国後島もいつか行ってみたい.

湧き水の岩清水は一応生きていた.

頂上が近づくと巨石がゴロゴロ転がていて独特な雰囲気になってきた.気を抜くとペイントを見逃して登山道を外すけど案外登れてしまう.何よりトップが近いこの瞬間はいつも楽しくてしょうがない.自ずとペースが上がってあまり写真も撮らずひたすら頂上を目指す.

南側を見下ろすと羅臼湖と知床峠.

そして念願の頂上.ちょっと曇ってきちゃったけどまだセーフ.決して高い山ではないけどその雰囲気はほぼ3000m級.素晴らしい眺望と知床特有の景観も相まってやりきった感でいっぱいだ.

しかしそれなりに行程は長いのでちょっと落ち着いてからさっさと下山を開始.

心配していた熊には出会うこともなく無事下山できたのだが…

登山口の木下小屋に先に降りて休んでいたおっちゃんが

「君ら熊と遭わんかった??おっちゃん,降りてる最中,熊が数十m先に出てきてお互い硬直してたら向こうが逃げていったのよ~」

マジですか???あっぶねぇぇぇぇ!!!!

熊の姿こそ見なかったものの,食物連鎖の頂点の獣のいる山の恐ろしさは半端じゃない.その話を聞いてしばらく鳥肌が収まらなかった.

知床峠~標津

下山後は予定通りバイクを進める.どうやら地震の影響は一日経ってかなりマシになってきているようだった.とりあえず一安心.

知床峠より羅臼岳を望む
原付の貧弱エンジンでは馬力不足で長い坂を全く登らずに焦った.

下山後は知床峠を越えてひとまず有名な熊の湯へと向かう.ここがまた最高の露天風呂で…

もちろん洗い場なんかはない.

徐々に熱々のお湯に体を慣らしながら入る儀式がまた最高なのだ!

他に入っているのは地元のおじさん達.真の温泉好きしかいない硬派な雰囲気がまた素晴らしい.

相当熱いので長湯せずともあっという間に仕上がった(笑).こういう温泉を知ってしまうと並大抵の温泉では満足できなくなるから良くない(笑).

また来よう!!

しかし温泉を出てからは地獄.徐々に空が暗くなり案の定雨がポツポツと降り始めた.

つ,ついに来たか…

9日目まで辛うじて雨の中を移動することは避けてこれたがついに腹をくくる時が来たようだ.今日の宿は標津の海の公園.実に50kmの中,雨の行軍である(笑).9月の羅臼の雨は冷たく,ガタガタ言いながら苦しんで原付を走らせたのは言うまでもない.

人生やられっぱなし

2018.9.8 10日目(標津~弟子屈~阿寒)

翌朝,雨は無事止んでいた.そうでなくちゃ困る.しかしテントの前室に置いていたはずのカップ麺達が見当たらない.置いた場所間違えたかな?テントに出ると何やらゴミが散乱していた.

汚ね~~

誰よゴミまき散らしたやつ??

しかしよく見るとそれは私が前室に置いたはずだったカップ麺の残骸達だ.

油断していた!!すぐに犯人はキツネだと分かった.かなり気を付けていたつもりだったが杜撰な処理をした結果がこれだ.急いでゴミを拾って片付けた.

天気はさほど良くはない.鉛のように重い空が広がっていたが今日もひたすら原付を走らせる.相変わらず街以外に立ち寄るような店はほとんどなく,田畑や牧場,山地が永遠と続く.原付だと車の流れに乗れないのでそんなに早くは進めなかったが,逆にその遅さが心地よかった.旅の面白さはスピードに反比例するというがまさにその通りだ.

中標津あたり.天気もさして良くはないので開陽台はパス.
弟子屈駅前で豚丼を食らう.

道東屈指の観光スポットの摩周湖にやってきた.天気も悪くたいして期待はしていなかったがまさかの湖面のスッキリ見える摩周湖を引き当てた(笑).噂によると晴れた摩周湖を見ると婚期が遅くなるらしい.

いや,逆転の発想をしよう.旅程がガチガチに固定された旅行でここに訪れる人は天気など関係なしにやってくる.言うなればこういう旅行をする人たちは世間一般の常識人.ところが北海道に居座って天気次第でのらりくらりと流れゆく旅人はこういう世間一般の感覚とはずれていることが多い.例外なく私たちもそうなのだ.故に摩周湖を見られる人は婚期が遅れるのだろう…(知らんけど)

深い青色が美しい.

硫黄山に向かう途中.

道を確認するためにリッキーが路肩で止まった.合わせて私もスピードを落として止まる.確認が終わり,リッキーも再出発したようだったので私もアクセルをひねったが3秒後

ドシャャ!!

私は道に転がっていた.

?!?!?!

一瞬何が起こったのか分からなかった.どうやら私がリッキーの原付に追突してしまったらしい.幸いにもお互い怪我は全くなかったが私の原付のかごはひしゃげ,リッキーのリアキャリアは少し傾いてしまった.原因はどうやらお互いにあって私の不注意とリッキーが発車後すぐに止まってしまったことにあった.けど私の不注意が事故の大半.全力で謝った.

ごめんね.リッキー.

何となく気まずかったが引き続き観光は続行した.

駐車場からすぐそばでこの景色を見られる

続いて向かうはまたまた無料の露天風呂.これがまた最高すぎた.熊の湯と同様,洗い場や更衣室なんかはない.お湯も激熱.そろりそろりと入って癖になる熱さだ.

地元のおじさん曰く,この湯に毎日入っていると嘘か真かどんな病気も治ってしまうらしい…それにはこの熱さが必要不可欠とのこと.観光客が勝手にぬるくしてしまうことを嘆いていた(笑).僕たちは激熱の温泉大好きですと言うとにっこりしていた(笑).

ここもまた癖の強い温泉であることは間違いないだろう.

湯からあがった後また明日の山,雌阿寒岳の麓にスタンバイするべく原付にまたがる.

太陽が完全に沈んでしまった.
暮れゆく峠に浮かぶ巨大な雄阿寒岳のシルエットが良すぎる

原付の貧弱なライトでビクビクしながら峠を越える.目的のキャンプ場に着くころにはすでに闇の中だった.

終わり