北海道原付ツーリング⑤|突然の地震??試してくる北の大地

2018.9.5 7日目(雄武~清里)

結局ビビりにビビって,バンガローに泊まったものの台風の影響は大したことがなく,ただただ風の強い夜というだけだった.雨すら降らなかった.

バンガローに泊まったのは何となく自分に負けてしまった気がしたが,不安のない夜を過ごせたと考えたら悪くはない課金だったと思う!!こうも貧乏旅を続けていると衣食住の水準がガクッと下がって,同時に財布の紐が固くなってしまうのは悲しい.

日の出岬周辺を散策.

9:20.日の出岬を出発!今日の目標は斜里岳の登山口近くまで進むこと.今日もシンプルな目標だ.しかしただ進むと言っても原付での長距離移動はなんだかんだでしんどい.京都を出て一週間経ってようやくそう思うようになった.肉体的な疲労は少ないとはいえ原付で色々巡りながらだと250㎞進むのがやっとというのが現実だ.(チャリダーの皆さんすいません…)

道の駅紋別の巨大な熊.でかすぎてビビった(笑).

目次

腹が減っても飯屋がねぇ!なら進むしかねぇ!

旅人って湖の観光どうすんの?

旅をしてて一番困るのが湖.生き物を探す訳でもなければ,湖でアクティビティをする訳でもない.近くを走ってもどこも似たり寄ったりでいまいち全貌を掴めない.つまるところ移動に重きを置く旅と湖は相性が悪いのだ(ゆっくりくつろぐ分には最高だ!).唯一の突破口は湖を見下ろせるような展望台.

てな訳で…道中通るサロマ湖を見下ろすためにサロマ湖展望台へ.

しかしツーリングマップルには10㎞のダートと書いてある…

まあなるようになるっしょ!!

ガタガタガタガタガタガタ……

悪路を進む自転車かな??けたたましい音を上げながら辛うじて進むことができたけど喜んで突っ込むもんじゃない(笑).たまに底を擦りそうになって転びそうになる恐怖は計り知れない.

はるばる来てやったよ…

この景色である.

ふぉおおおお!!

湖沿いは森ばかりでいまいち良く分からなかったがその全貌を見渡せることができる.

サロマ湖は海水と淡水の混じる汽水湖だ!

もはやほぼ海なのだがやはり特徴的な砂州をみれば辛うじて湖の体をなしていることが分かる.

特徴的な砂州は次回(いつ来るかは分からないが)にお預け.

展望台を後にしてまた残りの5㎞ほどのダートを必死で下ったのは言うまでもない(笑).

海岸線きわきわを走れ!けど飯屋なくね?

サロマ湖を後にする頃にはすでに正午は過ぎ,14:30だった.

どこか飯(を安く)食える所があれば止まろう!!

しかし行けど暮らせどそれらしき建物は見当たらない.ただただ森やら牧場やら畑やらが交互に出てくるだけだ.

何気ない北海道にありがちな道.

うーーーん…もう昼飯なしでいいか…

網走まで走れば何かあるでしょ…

しかし無駄にストイックな私たちである.海岸線はしっかり走りたいし,能取岬にも行きたい.バイクは知らず知らずのうちに腹が減ってきてつい乗りすぎてしまう乗り物である.

と,遠回りして網走行くかぁぁぁ!!

こうなると強い.ただただ無心でバイクに跨っていられる.

能取岬まで目と鼻の先までやってきた.嘘だろ??絶景ロードすぎる!!そこにあるのは果てしなく広がる青空と紺碧の海.そんな光景を眼前にして下っていく坂道が最高すぎた.

着いたーーー!!!時刻はすでに16:00頃である.腹が減って仕方がなかったが目の前の灯台に興奮せざるを得なかった.

こんな絶景灯台は初めてだ!

一瞬これを見て腹が減っていたことも忘れてしまった.すごいぞ,能取岬!緑の草原と抜けるような青空に縞模様の灯台がそそり立っている.絵に描いたような灯台のある風景で無理をしてでも来て良かった.

しかしあまり時間は残されてない.明日は斜里岳に登るのでなるべく登山口のある清里町までコマを進めておきたかった.後ろ髪を引かれる思いで能取岬を後にした.

網走のスーパーで食糧調達と腹を満たしたのち,暮れゆく道を南下し野営する公園を目指す.左手には釧網本線,右手にはただただ広がる畑の奥に斜里岳が鎮座している.帰路に就く車の流れをよそに,深い闇に染まっていく斜里岳を目指すのはなんとも形容しがたい心地よさがあった.ふとした瞬間に旅情に浸れるのは決まってこういう何でもない時間だったりする.

野宿する公園に着くころにはすでに日は落ちて真っ暗闇だった.

夕暮れ時の斜里岳.標高1500mそこそこなのにものすごい高い山に見える.

地震発生?!

2018.9.6 8日目(清里~ウトロ)

斜里岳アタック

2018年9月6日早朝.北海道の胆振地方が最大震度7をも誇る地震に襲われた.しかし当の私たちは胆振地方から遠く離れた道東で眠っていたので全く気が付かづ旅のいつもの朝を迎えていた.昨晩付いていた街灯やトイレの灯りが起きて暗いうちから消えていたのは多少気になったが,この地震による停電だとはこの時全く気が付かなかった.

しかし朝の準備をしつつ見ていたスマホから飛び込んできたのは地震のニュースだらけ.この時私たちは心底うろたえたけれど実害はなかったので,予定通り斜里岳登山口へと向かうことにした.

相変わらず登山口まではわずかにダートだったが感覚がマヒしてきて何の問題もなく原付でやって来れた.登山口は標高680m.目指すべき頂上は1536m.今回はかなりゆるく登れるだろうと思っていたがそうでもなかった.

比較的水量は少なかったようで難儀した箇所はなかった.

待ち構えていたのは幾度も現れる滝の数々.何度も渡渉を繰り返すのでそう易々と標高は稼げない.しかしここまでワイルドな登山道は中々珍しく始終楽しく登れた.いや,山登りというよりは沢登りという感じだった.ほとんどの山は「我慢を強いられる区間」というのがあるがこの山にはそれがなかった.

渡渉の体勢を間違えたリッキー(笑).
アスレチックな道を軽快に進む.

沢の源頭部に近づいてくると水量は途端に少なくなり,なめ滝をそばを進む.こう見るとじゃぶじゃぶ水を浴びながらじゃないと進めないようにみえるが実はそうではない.

スロープ状の岩床を流れる沢沿いに一応登山道が設けられていて水に濡れることはない.

しかし岩は滑りやすく足を滑らすと真下に落ちて逝ってしまうのでめちゃくちゃ注意して足を運ぶ.振り返ると斜里の田畑やオホーツク海が顔を覗かせている.

上二股を過ぎると水は枯れた.後は頂上まで詰めていくのみ.奥には頂上が見え隠れしている.

稜線に出ると驚くことにハイマツが生えている.
斜里岳も火山でこの丘が溶岩ドームになっている.

頂上はすぐそこ.馬の背の頂上が目指すべき斜里岳の頂上だ.すでに人で賑わっている.

リッキーは少々疲労困憊の様子(笑)

程なくして頂上に着いたが,平日にも関わらずかなり賑わっていた.これも斜里岳が百名山であるが故のことだろう.しかし北海道の百名山に遥々やってくる人は猛者が多いらしく,頂上で写真を撮ってもらったおばさんは,地震の影響で本土に帰れるか分からないにも関わらず妙に嬉しそうだった(笑).

頂上からは斜里平野が一望.建物などは当然ほとんどなく.どこまでも田畑が続いている.畑毎に防風林として木が植えられているのは北海道ならではの景色だなぁと.

北の方に目をやるとこれから向かう知床連山も一望できた.

天気も良くていつまでも頂上でいたかったが下山を開始.登りは沢沿いの旧道コースだったが帰りは尾根沿いの新道コースから.こっちは旧道とは違って至極快適で,ハイマツの間に伸びる道をスキップ混じりに下るだけ.

光の加減で全く行きと全く違う道に見える.

下山は相変わらず一瞬であっという間に山を降りてしまった.

登ってきた斜里岳を振り返る.

一変した街.そして今後の方針

さて…下山するまで大して気にしていなかった地震だったが,街に降りると何やら様子が違っていた.まず目に飛び込んできたのはガソスタへと果てしなく続く車列.どうやら物流が止まったらしく,タンクローリーによって運ばれてくるガソリンも例外なく滞っているようで,給油制限をしていた.

ガソリンスタンドまで続く渋滞

さらに食糧や燃料の類も街からは忽然と姿を消した.コンビニやホームセンターの棚からは数日過ごす為に必要な「もの」は悉くなくなってしまった.

CB缶は皆無

胆振地方から遠く離れた道東の街にこれ程影響が出たのは停電が大きく影響しているらしく店内も暗く,信号も機能していなかった.街の人々は慌てて物資を買い集めているようで非日常的な光景だ.

ここで思い浮かんだのはこのまま予定通り旅を続行するか,どこか行先を変えるか,又は斜里町に停滞することだったが

・念のために積んでいた予備のパスタやラーメンで2日程度ならもつ

・例え給油制限でも原付ならガソリンは満タンにできる

・原付に積んだソーラーパネルでコンスタントに携帯を使用できる

・明日の天気が晴れ

これらを考慮して知床まで今日中に進み,明日は予定通り知床の羅臼岳に登ろうという結論に至った.上手くいけば予定通り旅は進められるし,特に停滞や別の場所に行く当てもなかったからだ.

さらに一番の懸念事項のガソリンは斜里よりも車の少ないであろう知床の方が確保しやすいだろうと考えたことも大きい.幸いにもこの予想は的中し,知床のガソスタには一台も車は並んでおらず簡単に給油をすることができた!!

オシンコシンの滝.絶壁に流れる幾筋もの水の流れを間近で見られる.

意外にも知床まで来ると,普通に観光で滝を見に来た人なんかもいて変わらぬ空気が流れていたがセイコマの食料だけは変わらずほとんど置いていなかった.かなり慌ただしく波乱万丈な一日だったがこの日も変わらずテントを張って眠りに着いた.

国設知床野営場にて夕陽を拝む.

終わり

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