雪山と切っても切れない関係にあるラッセル.最初のうちは誰しもツボ足(足に何も装備しない状態)で挑むとその大変さに気付いてしまうだろう.行きつく先は「ワカン」や「スノーシュー」となる訳だが,正直その違いは試してみないとイマイチ分からない.ブログやHowTo本を見ても分かるのは浮力においてスノーシューが断トツで,ワカンがツボ足よりマシという情報だけ.
ならば今回実際に計算してはっきりワカンの浮力は何倍か計算してみようではないか!!理論で何倍浮くのか明らかにするのは興味深いと思う.
目次
結論
結果から言ってしまうと1.95倍.ツボ足に比べてワカンを装着すると約2倍の浮力が得られることが分かった!!当たり前だが,体重や荷物の重さが変わっても浮力はツボ足とワカンでは2倍の差がある.しかしここで話しているのはあくまでも比較した際の違い.いくら浮力が2倍とはいえ,単に体重や荷物が重いとその分踏み抜きも多くなるのは言うまでもない.
具体的な計算過程なので興味のない人は次の項目に行ってもらっても大丈夫だ(笑).
ツボ足の面積=0.0240㎡
さてシューズの底面積を概算してみよう.私の愛用しているシューズはスカルパのモンブランプロGTXのEU43(約27.3cm).1cm四方の正方形が印字されたカッターマットに靴を置いて外周を鉛筆でなぞる.
大枠は300㎠,外周の線が被っていない空白は60㎠.そのため靴は240㎠より小さくなる訳だが今回は簡単のため240㎠(=0.0240㎡)とした.
ワカンとシューズの面積=0.0469㎡
一方ワカンはどうだろうか.私の使っているマジックマウンテンのトレースライン(L)のパイプ系は19.25mm,バンド部分は25mmとのこと.
さらに実際ワカンを装着するとバンド部分がシューズの一部と重複してしまうのでこれを加味して計算すると,ワカンとシューズを合わせた面積は約0.0469㎡となった.計算諸々はここに書いても仕方がないので省略させてもらおう(笑).
ちなみにスノーシューの場合は?
申し訳ないが私はワカンからスキーにアップグレードさせてしまったので現物は持ち合わせていない(笑).しかしスノーシューの代表といえばMSRのライトニングアッセントと相場は決まっている.これの一番大きなモデルではなんと20×76cmとのこと.その面積はなんと0.152㎡!!ツボ足の6.3倍も浮力があることになる.
トレースラインのレビュー
(アルミ)ワカンを購入するとしても実はほとんど選択肢はないし,比べてもさほど大きな違いはない.しかしトレースラインは唯一つま先のパイプが曲がっている特徴的なワカンとして知られている.このお陰で足捌きがかなりしやすいので個人的にはこのモデルを購入するのがオススメだ.アイゼンと併用する場面は個人的にかなり少ないと思っているのでこのモデルでも全く問題ないだろう.
今さら多くは語らないがワカンで太刀打ちできないコンディションというのは多々ある.例えばドライパウダーの深雪ラッセルでは全くと言っていいほど役に立たない.こういうコンディションではスキーを履いても腰ラッセルが良い所だろう.
積雪期シーズンを通して考えるとワカンの方が守備範囲は広く使える場面が多いのは事実だが,豪雪の山に入るならスノーシューの導入も検討しよう.やはりスノーシューが良くてワカンがダメとか,ワカンが良くてスノーシューがダメなんて議論するのはナンセンスで本当に雪山を極めるなら雪質や山域,時期に応じて使うためにどちらも揃えるというのが筋だろう(笑).雪山は道具にかけるお金をケチると簡単に敗退する世界だ.
ワカンにおけるトラブル
ワカンにおけるトラブルといえばやはりバンドが擦れて切れてしまうことだ.
新品を購入するうとこうしたトラブルは少ないかもしれないが,旧型のエキスパート オブ ジャパンのワカンは爪とバンドの間のパーツが擦れて切れやすいという事例が多発したようだ.現行モデルは対策されているが,ヤフオクやメルカリで安く手に入れる方は注意しよう.旧型の場合は結束バンドを装着することで改善されるようだ.
まとめ
ワカン→1.95倍
スノーシュー→6.3倍
今回はツボ足との浮力の差について紹介した.スノーシューに浮力があるのは当然だが,ワカンでも2倍近くの浮力を稼げていて個人的にはかなり意外で驚いた.雪山はフィールドそのものも厳しくなる上に,道具選びでも頭を悩ますことが多い.この記事がワカンやスノーシュー選びのヒントになれば幸いだ.
↑アマゾンにはトレースラインなかった.すまん!
終わり
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