今回はペツルのアイゼン・イルビスハイブリッドを紹介する.
アイゼンを付けて山に行くようになったのは山を始めた2014年からだったが,本格的な前爪ありの所謂アイゼンを購入したのは恥ずかしながらつい最近(2019年の冬)のことである.初代はモンベルのコンパクトスノースパイク,二代目は祖母にもらった旧カジタックスの6本爪.こいつらでうろちょろ初心者向けとされる雪山を歩いていたが流石にこれではまずいとなって三代目にBDの10本爪アイゼンであるコンタクトストラップを購入した.
しかしベルト式アイゼンはスキーブーツには上手く装着できず,今シーズン(21-22シーズン)より,山スキーのスタイルがフルシートラから通常のシール登行に移行することもあって装備を見直す必要があった.そこで今回他のアイゼンとは一線を画すツアースキーに特化したモデルを購入することにした.
目次
特徴
スキーツーリング、氷河歩行を含むアプローチに適したハイブリッドタイプのクランポン
アプローチとスキーマウンテニアリング用にデザインされたクランポン『イルビス ハイブリッド』は、スチール製フロントパーツとアルミニウム製ヒールパーツにより、軽さと操作性をバランスよく実現しています。 連結システム「コードテック」により、かさばらず、携行が容易です。バインディングシステム「レバーロックユニバーサル」により、前コバの無いブーツにもフィットできます。クランポンには『アンチスノー』とキャリーバッグが付属します
ペツルHPより引用
- 軽量、コンパクト
- 重量: 540g (『フィル』)、570g (『フィル フレックス』)
- アルミニウム製ヒールパーツ、高弾性ポリエチレン (HMPE) 製コードを用いた連結システム「コードテック」による最適な重量
- コンパクトなフロントパーツ、柔軟な連結システムにより、付属のポーチにコンパクトに収納できます
- 氷河歩行、スキーツーリング用
- スチール製フロントパーツにより、氷や岩を確実にとらえることができます
- 耐久性の高いスチール製フロントパーツ
- 硬い雪面で高い安定性を発揮する10 本爪
- 雪の斜面で高い保持力を発揮する幅の広い2本のフロントポイント
- ポイントの長さは、正確な足置きができ、効果的に雪面をとらえられるように最適化されています
- アンチスノーにより、あらゆる雪質でクランポンの底に雪が付着するのを抑えられます
- 後にコバがあるブーツへの装着が可能な「レバーロック ユニバーサル」バインディング
- 道具を使わずにサイズ調節が可能
- 収納、持ち運び用の『コードテック ポーチ』が付属
- 複数の組合せに対応する「アルペンアダプト」システム
- トーベイル『フィル』『フィル フレックス』により、前コバの有無にかかわらず、様々な種類のブーツに装着することができます
- フロントパーツ、ヒールパーツ、アンチスノー、バインディングはそれぞれ交換可能
重量
特筆すべき特徴としてやはりその軽さが挙げられるだろう.同じ10本爪のコンタクトストラップと比較してもその差は歴然.コンタクトストラップが807gなのに対してイルビスハイブリッドは540gだった.特に足元がこれだけ軽くなるだけでもメリットと言える.ペツルにはさらに軽量なレオパードという全てアルミでできたモデルも存在するが,フィールドの特性上本州の山岳地帯では全てアルミだとやや心配なのでフロントブロックがスチール製となっているイルビスハイブリッドを選んだ.
公称値 | |
レオパード(ワンタッチ) | 320g |
イルビスハイブリッド (ワンタッチ/セミワンタッチ) | 540g/570g |
イルビス(ワンタッチ) | 710g |
イルビス(セミワンタッチ/バンド式) | 730g/765g |
コンタクトストラップ | 808g |
収納性
そして収納性.ジョイント部分が紐なので折り返すように収納することができる!!お陰で従来の弁当箱2個分はあろうかという程の大きさのアイゼンケースとはおさらばできる(笑).これはほんとにありがたい.ただ唯一不満な点は付属なアイゼンケースが貧弱すぎることと小さすぎること.これではすぐに穴が開いてしまうのは目に見えてる.替わりのケースを適当に百均で調達しようと思う.
替わりのケースは百均で見つけたお弁当箱入れ.程良く遊びがあるので出し入れがスムーズになった.スキーからアイゼンに換装する場合,結構シビアな局面も少なくないはずなので作業性を向上させるのは重要だ.
メンテンナンス性
そしてこのイルビスハイブリッドはメンテナンス性も最ッ高に良い.正直ここまでアフターサービスが良いのも驚いた.普通アイゼンなんて消耗品だし不具合があれば総とっかえで新たなものを調達するのが普通だけど,パーツ毎に購入できるのは我々消費者にとってこれ以上言うことがない.
それと同時にカスタムもできるので非常に守備範囲が広く様々なシューズやブーツに取りつけられるのも嬉しい.今まで冬山を始めるにあたって道具を順番にステップアップさせながら揃えると必然的にアイゼンは複数必要となっていたのがこれで一挙に解決できる.どうやら私もペツル信者と化してしまったようだ…
取り付け
さあアイゼンをブーツに取り付けよう!!
まずはフロントブロックの穴位置を決める.前爪がいい塩梅でつま先から出るように調整するとOK.ただこのフィルという金具…かなり固い…女性だと付け替えるの無理かも.かなり力技が必要で私もヒイヒイ言いながら後ろの穴位置に変えました.
続いてコードテックの調整.
説明書ではヒールパーツの穴位置から先に決めていたけどどちらから決めてもOKでしょう.どのみちかなりあれこれと試行錯誤しながら調整するので先にコードテックを決めてしまっても大丈夫かと.コードテックの調整は見た目以上に簡単で紐を緩めて左右に引っ掛けるだけ.左足,右足で全く同じような紐のかけ方をしなくてもいいとのこと.(ソースはペツル公式の動画)
そして垂れている紐2本がきちんと同じ長さになるように調整する.写真は若干怪しいすね(笑).
ラストはヒールパーツの穴位置を決める.こちらの金具はかなり扱いやすくて比較的簡単に取れるので調整はしやすいでしょう.
完成!!
きちんと取り付けできていたらかなり強いテンションで紐が張れてるいることを確認できると思います.最初に取り付けてしばらく歩いているとややルーズになることもあるそうなので,ある程度歩いて問題ないか再度確認が必要とのこと.
ベルトカットの際の注意点
ワンタッチ/セミワンタッチ両方使う場合は気を付けるべき点が一つ.
購入段階ではかなりベルトが長いので短く切りすぎないように注意しよう.私は後から気付いたがワンタッチでしか使う予定しかなかったのでかなりバッサリとカットしてしまったが,これだとセミワンタッチで使うにはかなり厳しい(笑).
まあ冬靴も前後にコバがあるワンタッチ対応のものなので全く問題なし!!
実際に使ってみて
実際に使ってみるとなんと言ってもその軽さに驚いた.ほとんど軽アイゼンを付けているような軽さ.それでいて他のアイゼンと同様ガシガシ使えるので文句の付けようがない.ただし,コードテックのセッティングはちょっと歩いて再度一段階きつくして初めて使えるようになるので要注意だ.
以下山スキー界でもツヨツヨの方々のインプレも参考にしてみて下さい.
ここ4シーズン北ア含め山スキーはこれのみでした。最初はコードが伸びるのでキツめにセットして、少し歩いてからもう一度確認した方が良いです。リアはアルミなので減りますし不安を感じたらコードは交換すべきですが、ガシガシ使えます。ただ、軽量化し過ぎると速くなり過ぎるから重いので良いかも…
— Tomahawk (@TomahawkSki) December 7, 2021
まとめ
当初コードテックみたいな紐で大丈夫かなと思っていたけど想像以上にかなりしっかりしたもので固定力も十分信用に足るものだったので安心して使うことができるだろう.これで通常の鉄アイゼンからおおよそ半分の重さになるというのだから十分課金する価値はあると思う.
またある程度使って知見が溜まれば追記します.
終わり
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