2021.8.4~7
目次
概要
1日目はゴール地点の相泊からスタート地点の知床五湖へ移動し,長い林道歩きでルシャを目指す.気温が高く,汗が噴き出るような中なんとか日没前にルシャに到着.予定よりも進めなかったものの緊張の林道区間が終わり一安心.道中ヒグマ,キタキツネ,エゾシカ,エゾリス等に出会った.
距離 :21.8km
行動時間:6h58min
他の日程はここから!!
詳細
バスを駆使してスタート地点の知床五湖へ
昨晩北の大地に降り立つやいなや,レンタカーで夜中まで運転して遥々果ての地,相泊までやってきた.とりあえず始発のバスに間に合うように起きて,朝風呂の相泊温泉にザブンと入浴.かなり熱くて強制的に体がシャキッと起きた(笑).
不安要素しかないこの冒険で4日後にゴールの相泊まで戻って来られるのか…入林届けがあるので簡単な計画を提出し,バス停へと向かう.もちろんちゃんとした計画は知人に提出.予備日を過ぎてもTwitterに反応がなければ通報してもらえるようにお願いしておいた.
ちなみに車は車道の終点にある空き地に停車.後から知床財団の方に話を聞くと車は相泊漁港に置いておくのが正解とのこと.
7:00ちょうどにバスはやって来た.本当に運行してるか怪しいような場所ではあるがしっかり運行していた(笑).阿寒バスが運行する相泊~羅臼までの路線は8月限定路線で朝夕の始バスと終バスのみ.料金は良心的にもなんと100円!!
40分程バスに揺られ,羅臼に到着.温泉に入ってなんとか目覚めたもののここまで移動続きで眠く,バスの待合室で乗り継ぎまで軽く仮眠をすることに.ふわふわのソファーが備え付けて合って気持ち良かった.
85分の待ち時間を経てウトロ行きのバスに乗車し,知床峠を越える.次に下車するのは知床自然センター.この区間をバス以外で行き来するのは大変だとしみじみ.交通の便から考えてもやはり知床半島一周は8月以外有り得ないかもしれない.羅臼~知床自然センターで1190円.
知床自然センターで30分程時間を潰し,知床五湖へと向かう.こちらは480円.初日の午前中はバスで反対側のスタート地点に向かうだけで終わってしまった(笑).
冒険の始まりは林道歩きから
ここから私たちの知床半島一周が始まる.時刻は11時前.ずしッ!!と肩にのしかかるザックを背負う.観光客たちの喧騒をよそに知床奥地へと向かう自分たちはさながら変態であったに違いない(笑).最後に生存報告ツイートを済ませて出発!!ここからは電波さえも繋がらない圏外区間となる.
知床五湖から奥に伸びる林道は全区間未舗装だ.今日は最低限林道終点のルシャまで行くのがノルマだったが,カムイワッカまで11km,ルシャまで22km…こんな感じの林道が永遠と続く.とりあえず折り返し地点のカムイワッカを目指すことに.
kyoニキ「実は今日が一番しんどいのでは?!」
核心を突いた発言にドキッとした.意気揚々とスタートしたものの変わり映えしない景色に早くも飽きていたのだ.最初のうちは荷物重い…,暑い…!!だとかしょうもない愚痴をそれぞれが口にしていたが,やがて自分自身と向き合う修行区間に移行(笑).無口でひたすら足と肩の痛みにただ耐えるだけとなってしまった.さらに汗に群がるアブまで飛び始める始末.
普段私もkyoニキも重荷での行動をフィールドでするのはかなりレアで,歩荷トレみたく修行系をやってこなかったツケが足と肩にのしかかる.特にkyoニキは今回の為に新調した防水ターポリンザックのパッキングが難しいらしくバランスが非常に悪いとのこと.
カムイワッカ湯の滝へ行ったり来たりする車が颯爽と過ぎていく.
私「く…乗せていってくれ~~~」
今さらながら,観光客の車のヒッチハイクを試みれば良かったと後悔している(笑).
しかしどうにか中間地点のカムイワッカに到着.時刻は14時前.なんとか1時間4kmのペースで歩くことができた.崩れるようにザックを降ろすと体が羽のように軽い.シャッと湯の滝を見物.流れる沢の水は摩訶不思議なことにぬるい.かつては上の方まで行くと肩まで浸かれる湯舟の滝壺があったらしい.しかし今は落石の影響で途中までしか行けないとのこと.私たちはそれよりも先に進むことしか頭になかったので軽くカムイワッカの滑床だけ見物して先に進むことにした.
サファリパークへ潜入
カムイワッカから先へは一般車両立ち入り禁止となる.林道を通れるのは番屋の方か環境省の車くらいだ.
ゲートを越えて先へと進む.ここから先は行きかう車もなく,いつヒグマがひょっこり出てきてもおかしくないだけに自ずと緊張感が高まる.
知床大橋を越えて…
2つ目のゲートを越える.
林道は基本同じ標高を進めるようになっていて尾根と谷を繰り返しグネグネと縫うように走る.そのためブラインドカーブが多く,そのカーブのたびにヒグマと鉢合わせしないか緊張する.
私はこういうこともあろうとすかさず爆竹を取り出して点火!
パパパパーンと辺りに爆音が鳴り響いた…
これで遠くのクッマに存在を知らせられたやろ~と舐めていたが…
出た…!!
正真正銘のヒグマだ…
50m先に奴はひょっこりと出てきたのだ.しかし恐怖感こそあったが不思議と体は動かせた.ゆっくりと後退し,じっくり待機.しばらくすると,奴は我々に全く興味がないようなそぶりでカーブの奥へと消えていった.ここで留まっていても仕方がない.2人で林道先と消えて行ったであろう山手の斜面の様子をお互い協力して見ながら先に進むことに.熊は幸いにも林道からは姿を消してくれた.一安心…これで先に進めると思い,ふと山手を見た瞬間,藪から熊がこちらをジィーっと静観していて戦慄した.そくさくと熊の視線に気付かなかったことにして先へ進んだ.
何度も熊が付いてきていないか確認する.どうやら上手くやり過ごすことができたようだ.ふぅぅと一瞬安心できたが,同時にキュッと気を引き締める.我々は熊さんのお宅にお邪魔しているのだ.腰にぶら下げていた熊スプレーは万が一に備えて手で持ち歩くことにした.行く先の不審な木の陰が全部熊に見える病気になってしまったが,やはり隣に友人がいるという安心感は計り知れなかった.これが一人で行動するとなると心細くてチビッていたに違いない.
休憩中またもやガサガサっと藪から音が.
またもや熊か??と警戒態勢に入るが現れたのはキタキツネ.とりあえずヒグマでないなら…と安心.
しかしこんな人のいない林道ですらエサをねだってテクテクと後を付いてくる.キツネが付いてくるということは,とりあえず周囲に熊がいないかもしれない.しかし小さな従者が何となくうっとおしく無視して歩き続けた.ふと後ろを振り返るとエサはもらえないと諦めたのかいつの間にやら消えていた.
熊が出たこともあり,あまり止まらず,気合を入れて歩いていたが目の前に人工物の硫黄山大橋が見えて急に緊張の糸が切れた.今まで感じていた足や肩の痛みを急に思い出し,大の字で横になる.
「これルシャまで辿り着くんか?」と漏らすkyoニキ(笑).
とりあえず休むしかないなとなって40分程横になって寝た.
重い体に鞭打ち,とりあえず海岸までは歩こう!!
トボトボと歩き続け,どうにか日没前にルシャを眼前に捉える所までやってきた.
この日は私のガバガバ計画ではタキノ川の番屋まで歩けたら…と思っていたが,体が限界だったこともあり手前の海岸の草地に幕営することにした.
草地にはエゾシカさん達もいたので一安心.少なくとも今は周囲に熊はいないという安心感は計り知れない.
休む間もなくすぐにテントを設営し,夕食の準備に取り掛かる.
水は途中の沢で汲んだ水をろ過器のソーヤーミニを通して.キタキツネ由来のエキノコックスが混入していることもあって水の確保から北海道は厳しい条件を突きつけられるのだ.毎回ろ過するの…めんどくせぇ…
ちょうど暗くなる頃に2人とも夕食が出来上がった.私はカレーでkyoニキは安定のパスタ.飯を食うと疲れからあっという間に入眠!!気温は高く,寒いと予想していたのに,パンイチで眠れてしまった.
終わり
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