【南アルプス】白峰三山・テント泊縦走(3days)

2015.8.7-10

山歴二年目の高2の夏がやってきた.当時私は山岳部で,夏合宿は当時お金のない私にとって憧れの山々に行ける一大行事でずっと楽しみにしていた.普段関西の低山くらいしか行けてなかったので,ここでは当時の新鮮?な気持ちを振り返ってみることにする.

目次

行程とルート

山岳部といっても大学の山岳部のようにテクニカルなことをしていた訳ではない.むしろしっくりくるのは大学のワンダーフォーゲル部くらいの活動だ.そのためルートも広河原IN・奈良田OUTという一般的なもので行程にもかなりゆとりがあった.しかし大荷物で歩くのは中々キツかった.装備は確か25㎏だったと記憶している.

行程とルートの詳細

往路は新幹線と特急を使い分け,復路は夜行バス.

合計距離: 24937 m
最高点の標高: 3193 m
最低点の標高: 826 m
累積標高(上り): 2978 m
累積標高(下り): -3645 m

8/7:新大阪駅→甲府駅→広河原
8/8:広河原→北岳→北岳山荘(標準CT:7時間50分,標準CT比:1.38)
8/9:北岳山荘→間ノ岳→農鳥岳→大門沢小屋(標準CT:7時間20分,標準CT比:1.32)
8/10:大門沢小屋→奈良田→甲府駅(標準CT3時間25分,標準CT比:1.19)
累積標高:+3041m,-3732m
距離:24.5㎞

ゴミ装備でゴミパッキング

久しぶりに当時の写真を漁ってると一枚目から衝撃!過積載ゴミパッキング写真がでてきた.

けど言い訳させて下さい.

山岳部の備品の一つ一つが大人数を想定した,でかいテントとか鍋で初日の食料を消費しないとスペースが作れなかったのです…それに当時の私は高いダウンシュラフなんかがどうしても買えず,体力でカバーしなけりゃならない面が多々…

ほんま誰やねん!登山靴とカッパさえ買えば山ができるって言ったやつ!実は間違いないけど荷物が大きくてでかいと制約が大きくて自由度が低くなるんよ…けど思い返してみるとこの不自由な無駄さがまた良かったなぁと.こういうのも山のスタイルの一つとして確固たる地位を保っているのは間違いない.

前哨戦・広河原

甲府駅からは山梨交通バスに乗り込み,北岳の玄関口・広河原へと向かう.南アルプス林道は長野県側の戸台大橋~北沢峠~山梨県側の夜叉神峠の区間がマイカー規制でバスでのアプローチが必須となる.ここ最近(2020年4月現在)は台風による土砂崩れなんかの影響で通行が見合わせになったりと,何かと融通が利かないエリアだが,この辺りを歩かずに来られるというのは大きい.

野呂川大橋を渡ったそばが広河原山荘だ

この日は麓の広河原山荘でテント泊をして翌日に備える.このプランは登山口までのアプローチで消耗したくない人には非常にオススメ.初日に標高1500mの空気に慣らしておくのも悪くない.

北岳に来ただけ

ひょっこり顔を出す間ノ岳

「北岳に来ただけ」

誰がこんなことを言い出したのかは知らないが,北岳に登る者なら恐らく一度は口にしてしまうんじゃないかな?妙にひねくれている私は当時絶対言うまいと思っていたがブログに投稿するにあたってつい長年の緊縛を破ってしまった.すいません…もう言いません.許してください.

長い樹林帯を攻略するには忍耐しかない

とはいえ,そう簡単に頂上に来られる北岳ではない.南アルプス特有の厚い樹林帯を抜けて一気に標高を上げなくてはならない.しかし標高を上げると着実に涼しくなってくるので肌でその山の高さを味わえるのも醍醐味の一つ(ということにする).

白根御池小屋まで来るとかなり展望が開ける.正面には積雪期に攻めたい池山吊尾根.私たちのパーティーは「草スベリ」ではなく「右俣コース」へと向かう.時短を狙うなら草スベリ一択だろう.

進行方向左側には北岳バットレスが迫る

白根御池で休憩したのも束の間.ここからが本チャン.一気に標高を上げる.中々の勾配をグングン登る.パーティー先頭だった私は好きなペースで歩いていたが後続は散り散りになりかけ,その度に顧問の先生に注意される.というのを何回か繰り返した(笑)

このペース管理が結構しんどかったが今では友人なんかと山歩きをするときの糧になっている.

パーティーのペース管理は休憩するタイミングも含まれる.今でこそ休憩をほとんどしなくていいギリギリのペースで歩くのが私のスタイルになっているが,当時は1時間歩いて〇分休憩というのが厳密に決められていた.

また今でこそログは携帯のGPSを使って楽々取るようになったが,部活ということもあって実際の行程は随時時計を見てメモして地図に記録したりしていた(笑)

小太郎尾根まで詰めるともうこっちのもん.

南アルプス大展望の楽しい稜線歩きタイムが始まる.もはや多少登ってても脳内麻薬で辛くない.ところが顧問の先生は標高2500mになると必ず高山病になるという特殊体質.この辺りからすげぇ辛そうで気の毒だった.

標高3000mの北岳肩の小屋が見えてきた!ここでテント泊ってのも楽しいやろな~ここまで来るとさすがに空気は薄く感じてくる.がさして問題はないかな.

肩の小屋からは岩稜帯の急登に突入する.あれがてっぺんか!って思って飛ばしてしまったが実は偽物.無駄に走ってしまった(笑)

さっきのピークを越えると本物が出てくる.これが日本第二位の山,北岳です.これは間違いなく百名山ですわ.

トップ!始終快晴の中上がって来れた.これはかなり有難い!けっこうガスりがちの山だけに嬉しい.

集合写真を撮ったあとに一人のを撮ってもらいました.にしても君が右手で握っているそのよれた棒は何だい?全く記憶にない(笑)

山頂は大賑わい.各人がそれぞれの山頂で流れる山時間を過ごします.

二日目は鞍部に立つ北岳山荘まで歩けばゴール.もう見えたので山頂が実質のゴールです(大嘘)

けっこう緊張感が必要な切り立った斜面をテンポよく下りないと意外と遠いと思います.

北岳山荘には16時頃到着.こうしてみると北岳の山頂からかなり下りを頑張らないとダメなことが分かる.

さっさと受付とテント設営を済ませ,晩飯の準備に取り掛かる.水はたしか持って上がったけど,こいつが重たくてしょうがなかった!晩飯はちなみにレトルトカレー.沸かしたお湯をどうしたのか忘れたけど今するなら米を炊いている最中に蓋の上に載せるだけで湯煎はしません(笑)

そのうち米の炊き方の記事でも書きます.

夕暮れは不発…雲が湧いてぼんやりと沈んでいった.それでも素晴らしいけどね!飯を食ったらミーティング.明日以降の予定を確認します.それぞれが今日一日の振り返りを話していく時間はあの時しかなかったなと…めんどくさかったけどそれがまた良かった.

至高の稜線歩き

三日目.稜線のテント泊ほどたまらんものはないと思ってる.グランピングなんかとは別の趣向.こっちは快適性を犠牲にして景色に振り切ってる.けど朝の陰影のくっきりした稜線を歩けるのは深夜発かテント泊.快適性どころか自身の体力を削って初めて等価交換になり得る世界…そうなると小屋泊はチートかもしれない…

振り返って昨日の北岳.ちなみに左奥のは甲斐駒ヶ岳.北アルプスと違う良さがある!南アルプスも稜線全部繋げたい…

朝一ということもあるがパーティーみんなの足取りは軽い. 間ノ岳まではさして時間はかからず.ここも百名山の一角を担っているが鳳凰三山のように三つでワンセットって感じの方がしっくりくる.もはや北岳と間ノ岳と農鳥岳の抱き合わせで白峰山でいいと思う(笑).ちなみに間ノ岳は日本第四位の高さの山.

山梨側に目をやれば雲海に浮かぶ富士山.富士山は山梨側から見るに限る!(異論は認める(笑))にしてもこの時期は南アルプスでも北アルプスと同様,東側は雲に覆われがち.

稜線はさしてアップダウンもなくかなり快適.だったがボーナスステージは一旦終了.一行は眼前に農鳥岳を捉える.残雪の頃になると農耕の節を告げる鳥の雪形が出てくるらしい.これは是非とも見てみたいところ…

間ノ岳と農鳥岳との鞍部にあるのが農鳥小屋.癖が強いと噂の農鳥小屋のおっちゃんがドラム缶にちょこんと座って温かく迎えてくれた.

ここでは詳細は述べませんが気になる方は調べると色々出てきます(笑)とりあえずこのセーブポイントを朝のうちに通過できればオーケー.

農鳥小屋を後にし,始めの急登を詰めた所にあるのが西農鳥岳.実は農鳥岳ではないというトラップ.写真奥の岩稜まで行って白峰三山コンプリートです.

ガスってきた13時頃,大門沢の下降点までやってきた.ここから白峰三山の稜線を外れてどんどん標高を下げる.標高を下げて山を離れる時に感じる旅愁が山旅の良さの一つだと思う.

三日目の幕営地・大門沢小屋を目掛けて (実際はハイマツ帯のつづら折りだが気持ちは) 直滑降開始!

エピローグ

最終日・早朝.大門沢小屋までかなり標高を落としたけどまだ深い谷の半ばということが良く分かる.奥には富士山.この山域はどこからでも富士山が見られるってのもポイントが高い!

川の音が近づいてきても中々下山させてくれないのがまた南アルプスらしい.

下界…とは言えないが林道まで降りてくると久しぶりの蒸し暑さに辟易する(笑)

下山!おつかれやま!フィックスされた予定でよく全日晴れてくれたもんやなと…理想の稜線歩きができたのは良かった.

下山後はさっさと温泉入って飯!山梨来たからにはほうとう一択!具沢山で下山後でもお腹いっぱいになれるのは最高やな.とりあえず南アルプスは通うこと確定ですね…このルートは小屋泊にするともっと時間を短縮できるし山登りする人全員にオススメできるので気になった方は是非行ってみて下さい.

終わり

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