【白山】デビュー戦は完全敗退~風嵐ゲートから別当出合まで~

目次

概要

昨シーズンのシートラ山スキーを経て今日はちゃんとした・・・・・・装備での山スキーデビュー戦.デビュー戦の舞台は大好きな白山に設定した.天気は随分前から予報に張り付いていたこともあって快晴無風の予報.11/24には同ルートで遭難事故が発生していることもあり天気がいいとはいえ,無理せず行ける所まで行こう.今回の趣旨は山での道具の扱いに慣れること,細かい所作になれることにある.

通常,冬季白山といえば麓の白峰の風嵐ゲートから長い林道を経て別当出会まで行くことでようやくスタート地点に立てる.冬季封鎖は例年11月末~12月頭.時期が早ければ途中まで自転車が使えるが,頂上の御前峰からの往復となると距離は45kmと長丁場になる.そのためワンデイには早出が必須.天気の悪い土曜日を移動日とし,軽く仮眠をして23:00頃にスタートする計画を組んだ.

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深夜に起きると前日まで降っていた雪混じりの雨も小康状態となっていた.レインを着込んで23:30にゲートをスタート.路面は最初ウェットだったがすぐに雪混じりのドロドロ→雪道となった.本来MTBでもあれば心強いのだが我々は普通のロードバイク.しかもブーツで漕いでいるのでいつもと違ってペダリングも難しい.ハンドルも雪に取られないように慎重に操舵する.とはいえ雪道でもある程度進めることは昨年の塩見岳にアプローチする際に分かっていたので焦ることはなかった.

市ノ瀬発電所の辺りから途端に道路の雪は増した.深さは3~5cm程度だろうか.そこから粘ってみたものの流石に漕ぐのは厳しくなったので三ツ谷川の300m手前でデポすることにした.そこでレインを脱いで液体燃料を補給.シールでスタートするか迷ったがこの先まだスノーシェドなんかで雪が途切れる区間もあるのでツボで行くことにした.ブーツでの歩行は今までの基礎ブーツとは違いその可動域に感動した.

市ノ瀬までは冬季封鎖後も車の往来があったり,除雪もあったため積雪は少なかったが市ノ瀬の六万橋を越えると途端に雪は深くなったのでようやっとシール歩行に切り替えることにした.初めてのシール.扱いは勉強していたとはいえ,机上の空論.スキーで歩くという感覚は独特でめちゃくちゃ感動した.これ以降はもうこの感動を味わえないと思うとちょっと悲しい.

市ノ瀬から別当出合まではまだ6km近くあるので序盤のスキーハイクに慣れるにはちょうど良かった.最初は嬉しくて大股でスキーを滑らせていたが極端に負荷をかけて歩いていることに気付いたので小さく滑らせるようにすると長続きするようになった.序盤雪は20cm程だったが別当出合近くにもなるとくるぶしラッセル.ラッセルも今までのツボ足とは違い段違いに楽なことに感動した.スキーがなければ膝上ラッセルだっただろう.何だかんだで私がほとんどラッセルしていた(笑).

3:45.別当出合に到着.ずっとラッセル続きだったとはいえゲートをスタートしてから4時間15分もかかっていた.グヌヌ…これ以降は登りで時間的貯金は作れない.休憩&補給しているうちに後続のおっちゃん3人組がやって来た.圧倒的に速い…つづら折りで市ノ瀬辺りにライトがチラチラ見えていたのだがもう詰められたようだ.この時期にこういうことができる方々は限られている.後続はトレースがあったとはいえ,流石に自分達のペースが遅すぎることを悟った.

とりあえず行ける所まで行こう.まずは噂の踏み板が外された恐怖の吊り橋.雪もそれなりに鉄骨に乗っているのでスキーを履いてウォークモードのまま行く.両手に手すりのワイヤーを掴んで慎重に.落ちたら大惨事だが少しずつ慎重に行けば問題ない.一方でGUCCIさんは二度としたくないとのことだった.妙義山の垂直の鎖場でも青ざめた顔をしていたGUCCIさんだが,忘れた頃にはもう一回行ってもいいかもしれないと言っていたのできっと次は大丈夫だろう(笑).

石畳からは傾斜が急になった.今までキマッていたシールが急斜面では中々キマらない.特にクライミングサポートを上げた状態では顕著で後ろに滑ることもシバシバ.焦りが募る.

こうして慣れない登坂に苦戦しているうちに後続のおっちゃん達に追いつかれた.後で分かったことだが,やはり地獄軍団の方々だった.軽く会話し,初めてなら甚之助までにしておくべきという的確なアドバイスも頂いた.今まで苦戦していた石畳の急斜面を易々と間髪入れず登って行く様は熟練されていて,我々の経験値のなさを痛感した.自分達の未熟さに唖然とすると同時に無駄のない動きを見て感動すらした.ヘッドライトの灯りはあっという間に見えなくなった.以降トレースを辿っていたが相変わらず私もGUCCIさんも彼らのように上手く登れない.

GUCCIさん「今日は悔しいけどここまでにしよう.」

「日が出るまで粘りましょ?」と問いかけたが,日が出るまで粘った所で気持ちが晴れる訳でもないのは自明なので潔く山を下りることにした.ただただ悔しかった.敗退の要因は時間的余裕のなさ,技術のなさと完全なる完敗であった.

復路の林道ボブスレーやダウンヒルをこなしながらずーっと「出来ると思っていたことが最初から出来ないことは当たり前じゃないか.スキーの滑走だって何日も山荘に籠るうちに徐々に上手くなっていった.シール登行のコツを掴む前にビッグ山行に挑んでいることがそもそもおかしい.」と自分自身を納得させてみたり,「絶対リベンジしたい.」と悔しさを噛みしめたりと似たような感情が繰り返され,うわの空で風嵐ゲートにゴールした.心は晴れないが,空は青く晴れ渡っていた.もう一度,一から積み上げてリベンジしたい.

詳細

深夜の風嵐ゲートをスタート
徐々に積雪が増えてきた.漕ぎ始めのトラクションさえ気を付ければ漕いで行ける.
市ノ瀬の六万橋
シールハイクがスタート.
雪深い別当出合.立ち止まると寒い.
一本橋は只ならぬ威圧感であった.
慎重に渡る.
敗退を喫し,休憩所で嘆いていたらいつの間にか朝を迎えた.
上部は雲海だろう.
チャリンコまで板を担ぐ区間もあったがかなり下まで滑り降りることができた.
雪に気を付けてダウンヒル.雪道は抵抗が大きく下りでもスピードは出ない.
風嵐ゲートにゴール.

終わり