【後立山連峰】五竜スキー場から行くゆるふわ遠見尾根

2020.3.3

今回は厳冬期の鹿島槍ヶ岳のカクネ里雪渓を間近に見てみたい!そう思ったので確実な日を狙い,大遠見山まで歩くことにしました.

パーティーは私と先輩のじゅんの二人.

コースタイムとコース概要は以下の通り

往路

アルプス平-(15min)-地蔵の頭-(90min)-小遠見山-(25min)‐中遠見山‐(40min)-大遠見山‐(60min)-西遠見山‐(80min)-白岳

ログは大遠見山から先の五竜山荘まで付いてますがその理由は追々…

目次

クライムオン

スタートは白馬エイブル五竜スキー場から.登山届けを提出しテレキャビン(往復2000円)に乗ってアルプス平まで一気に駆け上る.

※乗車券はスキー場のチケット売り場じゃなくて,ゴンドラ乗り場の改札で買えるよ!

今日の天気は朝10時頃から晴れ,風もほぼないという予報.日本雪崩ネットワークに依ると森林限界からアルパインの雪崩危険度は「低い」とのこと.またここ4日間の積雪はないという.

絶好のハイキング日和だ!と思っていましたが…

ゴンドラで上がってくるとガスの中…ちらほら雪まで舞っている…

これはもう視界20mくらいしか効かないんじゃないか?ってくらいにはもう真っ白.ゲレンデを滑るスキーヤーやボーダーも悪戦苦闘している様子…

「標高上げればガスも抜けるっしょ!!」

8:35.クライムオン!半ば自分達を鼓舞してアイゼンを装着し歩き始める.

地蔵の頭

リフト沿いを歩いてゲレンデの境界までやってきた.

課金すれば地蔵の頭の近くまでリフトを使えば楽々来られるけど,この距離なら全く問題ない.

思ったより暑い
地蔵の頭が見えてきた!
地蔵のケルン

8:46.山屋の心の拠り所,地蔵のケルンに到着.こういうガスった日にはその存在感は大きく心が温まる.(うまく言語化できない)

登山無事を祈願し,地蔵のケルンを後にする.

小遠見山へ

この日は平日とあってか登山者は私たちを除いてほぼいなかったが3人組の外人パーティーに遭遇した.気さくにあいさつを交わしてくれた.

彼らはどこからドロップするのだろう…

装備がかっこいい.

尾根を詰めていると次第に周りが明るくなってきた.

これはきたんちゃう?!

自然と足取りは速くなる.一刻も早くガスを抜けたかった.

9:15.遂に青空が見えた.

2人して歓喜!!

更にはうっすらと五竜岳まで浮かび上がってきた.

この五竜岳を見てこの山行で大優勝する未来を確信した.

鹿島槍も見えてきた!

踏み跡はしかっりと付いていてツボ足でも全く問題ない.アイゼンがサクサクささって気持ちいい.ところが踏み跡をちょっとでも外すとズボッと膝くらいまで埋まる.多分雪が積もった直後だとラッセル天国で,意気揚々とは歩けなかったな…

真っ白な雪に自分の足跡を付けるのも楽しいけど先人の足跡を楽して辿るってのも悪くない.

トレースに感謝!!

振り返ると白馬の盟主,白馬三山が!左から白馬鑓ヶ岳,杓子岳,白馬岳.個人的にはこいつらは白馬岩岳スノーフィールドの白馬マウンテンハーバーから見るのが一番かっこいいと思う.

そして朝の外人パーティー.写真に人が入ると雪庇の大きさは相当なもの.

9:48.サクッと小遠見山に到着!

北アルプスは晴れているけど白馬谷はガスの中.

狙い通りや!!

じゅん「いや,計画通りやな…!!」

それもそのはず!今回のメインのカクネ里雪渓を見れたのだから…!!

鹿島槍ヶ岳・カクネ里雪渓

あ~来て良かった!!

ここに来るだけでも十分価値があるのでオススメです.

大遠見山へ

9:56.小遠見山から鹿島槍ヶ岳と五竜岳を望む.
10:02.小遠見山からの下り.
10:21.中遠見山から五竜岳を望む.
10:22.中遠見山からの下り

それにしても遠見尾根は長い!けれど夏に比べると細かなアップダウンがない分,冬の遠見尾根は素直かもしれない.しかも冬は夏と違って木々が雪に埋もれて眺望がいいのが最高だ!

ちなみに夏の遠見尾根はこんな感じだ.たまにアルプスが見えるけどひたすら登り・下りがしんどい(笑)

道中,クラックや軽く雪崩れた斜面を何度か目撃した.どんなに条件が良くても雪山を歩いている意識だけは忘れてはダメだ…

10:36.中遠見山を望む.ここも雪庇がすごい.
10:40.トラバース気味に登る.
大遠見山より五竜岳を望む.

大遠見山まではあっという間に着いてしまった.頂上の標識は雪に埋もれているのか見当たらなかった.

快晴&汗ばむほどの気温&無風だったので疲労感はさしてなかった.

じゅん「ポカポカ陽気お散歩日和クソイージーモードやん(笑)」

こんな簡単に大遠見山まで来れていいのか?(笑)

2人ともこんな調子だったのでゴンドラの時間に間に合うまでその先を目指してみることにした.

現在時刻は11:00.アルプス平からここ(大遠見山)までおよそ2h20min.12:30まで行けるところまで行って引き返そう!

五竜山荘へ

11:10.大遠見山からその先へ.
鹿島槍の見え方が少し変わってきた!
11:14.テント泊の方を発見!羨ましい!
11:19.着実に五竜岳の山肌が近づいてくる.

山が近づくと心が躍る.景色自体はそう大きく変わらない.しかし一歩一歩着実に目の前の山々が近づいてくる感じはいつも感動する.

11:38.西遠見山より五竜岳を望む.

程なくして西遠見山に到着した.ここまで来ると五竜岳の岩肌が目の前に迫って来ていた.時間的にもまだ余裕があったし,さらに先の五竜山荘を目指すことにした.(もちろん12:30のラインは厳守でだ)

西遠見山から下る.
11:50.白岳への取りつき.
ここでストックをピッケルに持ち替える.
先行パーティーも発見!

西遠見山からは景色は大きく一変する.そこは青と白の世界.コンディションが悪けりゃ来れない…

12:01.一歩一歩確実に登る.
すでにあるトレースはありがたい.
12:04.左手に五竜岳を見ながら登る.
スキーヤーのシュプールも多数.
12:15.振り返ると…
高度感は中々のもの.
12:28.目と鼻の先!
12:31.五竜山荘到着!

大遠見山から五竜山荘へのコースタイムは夏道で140min.流石に西遠見山のちょこっと先くらいまでしか行けないなと思っていたが,良くしまった雪質と先行者のおかげで五竜山荘にまで行くことができた.夏とは違った雄々しい五竜山荘を見られたのでもう言うことはない…!

富山方面.後立山連峰の主脈に立てた喜びは大きい.
ここから先はテント泊でしか行けない世界.
雪に埋もれる五竜山荘.

夏にも一度五竜岳は登ったのだがまた違う感情が沸々と湧いてきた.厳冬期(残雪期)の五竜岳に登りたい!だけど今日はここがゴール.

身軽な日帰り装備と最高の気象条件のお陰でここまで来られたことを忘れてはならない.

また来るよ!そう私たちは別れを告げ,五竜山荘を後にした.

クライムダウン

12:59.山荘で少しゆっくりしすぎたが
問題なく帰れるだろう.
下りも一歩ずつ確実に下る.
13:13.
吸い込まれそうな沢.いつか滑ってみたい.
13:23.西遠見山のてっぺんにあったシェルター跡.
雪のブロックを積み上げて
すごい手間がかかったに違いない!

あっという間に西遠見山まで帰ってきた.行きは気にも留めなかったがシェルターが残されていたので寄ってみた.今後のシェルター構築の参考にします!

13:34.鹿島槍が陰ってきた.
そんな姿もかっこいい!
13:42.大遠見山までもうちょっと.
14:02.中遠見山までもうちょっと.
何度も撮ってしまう
14:13.中遠見山より後ろを振り返る.
14:36.白馬の方もガスが取れたようだ!
14:41.じゃあね!
14:59.地蔵の頭まで帰ってきた.
怪我なく無事に帰ってこれてよかった.
15:12.アルプス平に到着!お疲れ山!
ゴンドラに乗る前に片付け.

下りは異様な速さで降りてきた.だいたいいつもそうで登りはゆっくり写真を撮りながら登るが下りは危ないのでほとんど写真を撮らず降りることに専念する.

今回もその作戦のお陰でゴンドラの時間に間に合うことができた.しかし予定外のことをしたので褒められた山行ではないだろう.

とは言え総じて大満足な山行になった.次は余裕を持って五竜岳にチャレンジしたい.

今回あって良かった装備

今回の山は快晴で常にあるリスクに晒され続けました.

それは…「雪焼け」です.

こういう晴れた日に肌を露出させているとあっという間に焼けます!

日焼け止めだけでいいのでは?と思っていた頃も私にもありました(笑)

ところが目だけはどうにもなりません.目が焼けるダメージは中々のもの.

そのため目を日差しや風から確実に守ってくれるゴーグルは必須です!

私はSMITHのSQUADを愛用してます.

おまけ・夏の遠見尾根

夏はお花畑になるアルプス平
木道も整備され歩きやすい
この高さなら雪に埋もれて当然か…
カクネ里雪渓.8月でも雪が残るのは流石!
白岳への取りつき
夏も険しい五竜岳.
五竜山荘より西遠見山を望む.
五竜山荘と五竜岳.