いくら評判の良いシューズでもその良し悪しは履いていみないと分からない.ということで今回はトレランやランニングで一定の評価を得ているホカオネオネ(HOKAONEONE)のスピードゴートGTX(SPEED GOAT GTX)をレビューしよう.
目次
各部詳細
まずはメーカーHPの説明から.
業界をリードするGORE-TEXファブリクスの防水技術により,お気に入りのトレイルシューズが雨の山道でも雪の積もった道路でも足をドライにキープ.
HOKAONEONE公式HPより引用
「SPEEDGOAT GTX」は,柔軟性のある前足部と3Dプリントのオーバーレイで,中足部をしっかりサポートします.滑りやすい条件下でも路面をグリップし,機敏で,なおかつクッション性のある走りを実現します.
アッパー部はトレランシューズにしてはかなりパリッとしている.防水モデルということもあって本来のスピードゴートシリーズではメッシュになっていた箇所もしっかり水をシャットアウトする造りとなっている.
ソールパターンはこんな感じで「^」と「ⅴ」の凹凸が組み合わされ,土や泥に対して威力を発揮するトレランシューズ仕様のパターンとなっている.ソールにはビブラムメガグリップが使われていて言うことなし.
そして何と言っても特徴はこの分厚いソールでしょう.このソールのお陰で突き上げはもちろんだが,長時間走った際の足への負担が少ないのなんの.そして母指球辺りからつま先にかけてのカーブがより足を前へ前へ運んでくれるようサポートしてくれる形状となっている.
SPEEDGOAT GTXのここがいい!
最初足を入れて驚いたのはやはり分厚く柔らかいマシュマロクッションだ.先ほども述べたが突き上げはほぼ皆無.そして長距離山を歩いても疲れにくいことに驚いた.今まで足で衝撃を受け止めていた作業を自然とシューズが担ってくれる感覚.適当な足捌きでも衝撃をいなしてくれるので他のシューズを履いたら歩きや走りが下手くそになってるかもと不安になる程だ(笑).
ソールだけに注目されがちだがアッパー部も秀逸だ.足全体をしっかり包み込んでくれるので靴内部で足がゴソゴソと暴れることもない.
グリップ力はビブラムメガグリップということもあって申し分ない.特にロード,土,泥,ザレ場はよくグリップしてくれる.麓の舗装路を経て未舗装の林道から山の頂上までシームレスに活躍してくれる一足だと思う.後述するが岩と草付きは苦手分野.
SPEEDGOAT GTXのここがダメ…
どんなシューズにもやはり欠点というのはあるものでスピードゴートも例外ではない.グリップ力はどんなコンディションでも及第点を取れているが靴の構造・性質も相まって岩は苦手だと感じた.
これには2つの理由が挙げられると思う.
①ソールが全体的に柔らかい
②走りに特化している為つま先がフラットではなく湾曲している
特に岩稜帯の下りではグリップ力を得るために面全体で着地できるよう足を運ぶのだがつま先が湾曲した構造ということもあって制動を得るのがかなり難しい.登りもクライミングゾーンがないのでかなり不安だ.同じトレランシューズでもまだ先代のサロモン(XA PRO 3D GTX)の方が岩に対しては強かったように思う.慣れの問題もあるかもしれないがやはり岩は弱点と言わざるを得ないと思う.
スピードゴートが走ることに特化しているという点では当たり前なのだがこれらはアプローチシューズが得意としている領域だ.アプローチシューズとトレランシューズをそれぞれ2足ずつ履いてみて思ったが全てのコンディションで満足するようなシューズはなく,状況に応じてアプローチシューズとトレランシューズを履く必要があるだろう.
まとめ
総じて完成度の高いシューズであるが万人にはオススメできないと感じた.アルトラのように足裏感覚に重きを置いたトレランシューズも存在する中で,このスピードゴートはクッション性に振り切ったある種特殊な位置づけのシューズと言えるだろう.その為どういう性能をシューズに求めるか分からないうちは手を出さない方が無難かもしれない.(個人的にローカットシューズを初めて買うならTX4のようなアプローチシューズの方がオススメ.)
しかしシューズの特性を理解した上では良き相棒となってくれる,そんな一足になることは間違いない.確実にロングトレイルやトレイルランではマシュマロクッションのお陰で足の負担が減るので良いパフォーマンスが出せるだろう.実際TJARの2022年,2024年ともにスピードゴートの使用率は断トツで高かった.
一方で耐久性としてはあまりないと思われる.一般的にトレランシューズの性能が維持されるのは200kmと言われているが,私の先輩のSPEEDGOAT4は約250kmでこれくらいの使用感だ.メッシュ部が擦れてやや毛羽立っているのが分かる.
2022.9.5追記
187.5km地点.早くもソールが剥がれてきた.短命であろうことは覚悟していたがあまりにも早い.ソールが削れて逝くのではなくソールごともげてくるとはね…スピードゴートは決戦用と割り切るような履き方が望ましいシューズなのかもしれない.
425km地点でヒールのラグが消失した.終盤は山ではグリップはほぼしなくなったのでほぼ平地のランニングや散歩で使った.この手の厚底ソールのシューズは履き心地はピカイチに快適だが,寿命はそんなに長くないかもしれない.
終わり
この記事が良ければ下のいいねをポチッとして頂けるとブログ運営の励みになります!!