目次
概要
2021.10.30(土)~31(日)
今回は晩秋の北アルプスへ.近年は晩秋~初冬にかけての雪山にテント泊で寒さに慣れる山行をするのが定番となりつつある.何と言っても人が少なく,厳冬期にはハードルが跳ね上がる山でもこの時期であれば比較的簡単に登れるのはコスパがいい(笑).事前情報では双六周辺で膝下,槍ヶ岳の飛騨沢に至っては60cm近くも積雪があると知り,これなら人のいない静かな北アルプスを満喫できるだろうということで新穂高に向かった.
新穂高には日付が回る前に滑り込めた.GUCCIさんの仕事終わりに京都に直行してもらったお陰だ.流石にこの時期は車もほとんど止まっておらず安心.その後2時まで仮眠し(私は全く寝れなかったが…),ハヤタさんと合流して3:30からスタートした.
テント泊装備に加えて雪山装備にアイゼン,ピッケル,ワカンなんかを持つとそれなりに重いが今年は何回かハードな泊まりを経験していたのでかなり気持ちは楽.されど長い左俣林道は辟易するので最初はトレランシューズでスタート.重たい冬靴なんかで雪以外の道を歩いた日には流石に足がもげるに違いない.しかし登れど登れど雪は出ず.なんとトレランシューズで弓折分岐を過ぎたくろゆりべんちまで行けてしまった(笑).
双六小屋からは一気に積雪が増えた.今回は三俣山荘でテントを張り,水晶岳まで行けたらいいなとがば思っていたが,予想以上に雪がグズグズで残雪期のような感じ.踏み抜きも多く思った以上に進めないので双六の稜線ルートは避け巻道ルートを選択したがこれがミスチョイスだった.普通に雪が深くて進まない.これなら多少の登りに目を瞑って稜線から行った方がはるかに楽だったろう.加えて,三俣山荘手前のハイマツ地帯は中途半端な積雪で登山道も通れず,藪も埋まり切っていなかったのでまるで広大な迷路.これを攻略するのにも難儀し,三俣山荘に着いたのは14過ぎだった.
水晶は潔く諦めて鷲羽岳には登ろう.鷲羽岳には何故かほとんど雪もなく,空荷でピストンする分にはそんなに時間はかからないだろう.なんせ飯が足りずヘロヘロだったのでカロリーを補給してから夕暮れの鷲羽岳に電撃ピストンすることとなった.足りなかった飯はありがたいことにハヤタさんにパスタを100g恵んでもらった.
三俣山荘を15:30に出発.下手するとヘッデン下山だ.ハヤタさんはテントでのんびりするらしいのでGUCCIさんとともに出撃.標高差はそこそこあるので各々のペースでガシガシ登る.刻一刻と太陽は西に傾き,暗くなっていくと同時に不安感もあったが同時に見たこともない景色に高ぶりも覚えた.頂上でグビッと三俣山荘で入れてきた白湯を一杯.これがまた沁みた.復路はちゃっちゃか下山.ギリギリヘッデンを使わなくてもいいくらいの暗さで帰ることができて良かった.
2日目は来た道を帰るだけ.ただ,1日目とは打って変わって天気はそんなに良くなく,ガスと風の中,三俣蓮華~双六の「お楽しみ」区間をこなした.まあ冬毛の雷鳥に出会えたでけでも良しとするか.またいずれリベンジに来ればいいだろう.長い林道の修行区間を経て新穂高には13:00過ぎに下山.今回も完全燃焼で素晴らしい山行となった.
詳細
21-22シーズン雪山初め
新穂高無料Pをスタートし,左俣林道を我慢して歩くとワサビ平小屋にて変態たちに向けた看板.ナイス情報.
秩父沢の端橋はすでに外されていた.夏に囂々と流れていたとは思えないほど水量が少ない.
ややスタートが遅く,秩父沢にて夜明けを迎える.稜線は白いが未だ雪は出て来ない.
今回は履きつぶしたトレランシューズを導入したお陰で楽々.冬靴は外付けでもはや冬靴要らない説まで浮上する始末.
鏡平山荘周辺でようやくまとまった積雪が出てきた.けどまだトレランシューズで大丈夫.
うひょーーーー!!!池に映った逆さ槍を拝めるかと思いきや水面はバリバリに凍っていた.見事に二度目の鏡池チャレンジは失敗(笑).
持ってきた水が思ったより足りなさそうだったので鏡池の水を飲むことにした.滞留している池の水はあんまり飲みたくなかったけど今日は凍っているので妙な浮遊物は飲まなくて済むだろうという甘い算段.ダメならお腹センサーが「あかんっ!!」て言うでしょ(笑).
おじさん達も絶景を前にご機嫌.
小池新道はラッセル大会になると思っていたのに.嬉しいけどなんか残念さもある.
ハヤタさんは最近山に行ってなかったらしく,かなり辛そう.毎回ハードな山行ばかりで申し訳ない(笑).
弓折分岐を越えるとようやく雪道に.しかし気温は高いので残雪期のようなシャバめの雪質.先週それなりに人も入っていたようなのでよく踏み固められていて快適だった.冬靴はくろゆりベンチで履き替えた.ここでハヤタさんが外付けしていたアトムLTを稜線のどこかに落としたらしく捜索しに行った(笑).
幸いにも服は近くのハイマツに引っかかっていたらしくロストせずには済んだ模様.トラバース区間を終え,双六小屋が近づいてきた.ありゃ,鷲羽雪少なくね??
双六小屋には先客の2張り.
私はここで10本爪を装着.つい最近爪を研いでピンピンにしてきたのでどれくらい違うか楽しみ.同時にハードシェルを破らないかすげぇ不安.
なんで清々しい青空だ!!顔面ズル剥けレベルの日焼け必至.
ここの分岐で時刻は10:50.昼前くらいに三俣山荘に着くかな?とガバガバ皮算用をしていたがやはり雪道は思い通りには進めない.「双六~三俣蓮華は明日に回した方が楽なのでは」とGUCCIさん.強欲の壺を発動し,稜線から行っても二兎追う者は一兎も得ず.なるほど.個人的には深部アルプスを歩きたかったのでその案に乗っかって巻道から行くことにした.
が…巻道はミスだったのかもしれないと早々に一同が気付く.巻道が双六台地の東面ということもあって深いところではそれこそ膝上レベルに積もっている場所もあって結構しんどい.巻道を選ぶきっかけになったのはもう一つ,Twitterのフォロワーさんが付けたトレースがあることを知っていたからだったが,そのトレースを追ってもそこそこズボる始末であった.
あまり補給をしながら歩いていたが一同カロリー不足でぐったり.
三俣蓮華の東面はこんなカール地形になっているのは知らなかった.
三俣峠の分岐を越えるとノートレースに.三俣山荘がすぐに見えてくるが中々辿り着かない.雪が中途半端な深さというのもあって登山道を辿るにも厳しく,ハイマツが埋まりきっていないので上を通るにも難儀する.いわば藪迷路.縦横無尽に歩いたり,強行突破したり.想像以上に苦戦して三俣山荘に到着した.
テン場に着いたのは14:30頃だった.早速テントを設営してみるも一同何もできずしばらく立ちながらシャットダウン(笑).鷲羽に行きたいがとにかくカロリーが足りていない.
色々考えた結果,間食を取って鷲羽に電撃ピストンすることに.しかし攻めた食料計画にしたせいで絶妙に食料が足りず,ハヤタさんにパスタ100gを頂くことになった.体に流し込むとモリモリエネルギーが体に戻ってきた.これなら動けるぞ!!
トワイライト鷲羽
鷲羽岳にはGUCCIさんと二人で向かう.ハヤタさんはテントでゆっくりくつろぐことにしたそうだ.
15:30スタートということもあり,すでに多くが日陰になってきていて焦る.2時間で往復出来なければ闇の中なのでガシガシ飛ばしながら登る.標高差400は伊達じゃない(笑).
鷲羽岳には雪がないので幸いにも歩きやすかった.上部は多少積もっていたけど凍ってもいないし全く問題なし.
鷲羽岳には雪がないかもしれないが,そこからの景色は紛れもなく雪をまとった山々が見えて感動.
頂上ももうすぐ.
日没ギリギリの16:40にゴール!!85座目は鷲羽岳でした.
日没間際の感動的な時間をゆっくり過ごしたいがあまり時間はない.間もなく闇になるので急いで降りないとならない.下手すりゃビバーク案件にすらなり得る.
行きたかった水晶は笑っていた.くっっっそ~~!!!楽しみは後にとって置けってことか.
淹れてきた白湯を二口飲んで下山開始.
流石に帰りは速いのなんので30分ちょっとで降りてきた.計画通り2時間以内のピストンで鷲羽アタックは幕を閉じた.
流石に疲れ果てて無言で飯を食って18:30には入眠.長い一日だった.気温は-4℃程度であったことや土の上にテントを張れたこともあって何度か一瞬目は覚めたものの熟睡できた.
ガスと風の双六台地
2日目は3:00に起床.起きて始まる水作り.これも同じキャンプと言うとキラキラキャンパーは卒倒するかもしれない.
水作りは雪と液体の水を混ぜた上で加熱するのがポイント.
飯を食って撤収を終えると闇の中歩き始める.しかし初っ端から迎えるは藪たち.今日は13:00くらいに新穂高に帰れたらそれでOKだ.
昨日のうちに下から見て弱点をつかんでいたので昨日よりはかなりましなルートでクリアできた.
あ~~今日はダメすねぇ…
案の定昨日とは偉い違いでドン曇り.
そして山の上部はガスに覆われ虚無の世界に.
まあ心配しなくてもこの先鷲羽も水晶も,双六も何度でも行くでしょう.
割り切ればガスやら風やらが吹いても楽しい.待ちに待った冬を全身で感じる.
悪天からの使者も参戦(笑).
この日も気温は意外に高く,0℃くらい.結局行動中にハードシェルを着ることは1回もなかった.
ガスの双六台地を行軍して帰るぞ!!
双六小屋へはルンゼ滑走?!
こっから帰るのは早かった.もうひたすら降りるだけ.
またくろゆりベンチで靴を履き替え.
鏡池に降りてくるとすっかり氷は解けていた.雪も極端に減った気がする…
トレランシューズを身に付けたハヤタさんは爆速ダウンヒラ―と化し颯爽と駆け下りていった(笑).
絶対鷲羽岳登れたやん(笑).私とGUCCIさんは程ほどの速さで後を追う.
最後は紅葉に癒されながら無事に帰還.今回も完全燃焼でした.おつかれやま!!
終わり