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えもいえない,やるせなさ
2018.9.12(旭川→月形) 14日目
昨日の富良野-美瑛でのハイライトが終わり,朝起きてもぼけーっとしながら朝飯をこさえて身支度を済ませる.2週間目ともなればもはや考えなくても手が動く.しかし旅ももう終盤.後は小樽方面に向かって帰るだけだ.これだけ色々巡ったり登ったりしたがやはり旅の終わりはどことなくもの寂しいというか,名残惜しいというかやるせない気持ちになる.
朝からはやり残した青い池と十勝連峰を一望できる望岳台へ.
平日(水曜日)の朝とあってか超有名観光地にも関わらずガラガラ.バイクを止めて50mも歩けば噂の池は姿を現す.なんでも聞くところによるとこの青い池は人工的にできたものらしいがそれでも美しい.
絵具を溶かしたような色の水から立ち枯れしたカラマツがにょきにょきと顔を出している.実像と虚像の二面性が織りなす世界観は人口的に作られたとはいえ神秘的だった.
続いて望岳台へ.眼前に十勝連峰が迫り圧倒的な迫力だ.本当はこの十勝岳にも登りたくて仕方がなかったが今回は見送り.理由は何だったか忘れた.それくらいの理由であれば日にちが一日後ろにずれてでも登っておけば良かったと激しく後悔した.「山は逃げない」と言うがそれは嘘.機会を逃せば中々登る機会に巡り合えないのが山の本質だと思う.
とはいえ望岳台に来たらここに入るのはマストと言われる秘湯の吹上露天の湯はしっかり入っておいた.着替える場所もなく自然の中で裸になって入る開放感は最高と言う他ない.
風呂上りには早くも昼時を迎えた.珍しく飯屋によって腹ごしらえをし,小樽方面へと原付を走らせる.
その晩,明日の舞鶴行きのフェリーを取るかどうかという話になった.リッキーは予定の都合上どうしても帰らねばならない.対して私は時間にはまだ余裕がある.リッキーには申し訳なかったが小樽で別れて一人で羊蹄山に登って帰るという決断をした.
友人との別れ~最後の旅路~
2018.9.13(月形→小樽→俱知安) 15日目
月形を後にして札幌,小樽へと進む.徐々に交通量は増え,田畑もなくなり,都会へ突入する.いまさら都会には興味はなく,札幌観光などはしなかった.リッキーと最後に飯と風呂を済ませた.
小樽に戻ってくる上陸したときに感じた高揚感とは違ってとどことなく懐かしいような寂しい気持ちに襲われた.自身の旅も終わったような気がしたがここでリッキーとは別れ,単身俱知安へと向かう.
羊蹄山アタック
2018.9.14(俱知安→小樽) 16日目
夜が明けて腹ごしらえを済ませてクライムオン.一大スキーリゾート地・ニセコのそばに聳える羊蹄山もオフシーズンには静かになるらしく登山者は誰もいない.
一人になると孤独感もあったが同時にソロならではの楽しさもあり問題なく羊蹄山を楽しめた.急登が続くがその分距離歩く距離は短い.樹林帯を我慢して抜けるとハイマツ帯と草紅葉が織りなす神秘的な光景が広がる.
半月湖野営場を出発して2時間43分.かなり早く頂上に着いた.
下山後は真狩温泉へ.どこから見ても美しい山は惚れ惚れする.もちろん露天風呂からもこの景色.放心状態で1時間半ほどくつろいでしまった.
やるべきことが終わった…
今夜の便で帰るべく小樽へと向かう.「道南を回る」だとか,「陸路で帰る」だとか色んな可能性も考えたけどすでに大満足.これ以上走るとメリハリもなく徒に時間とお金を浪費する気がしてここらが潮時だ…そう思いながら最後の北の大地を駆け抜けた.
旅の終焉
北海道原付ツーリングの最期の晩餐は考えた結果,たらふく食える小樽市内の食堂に入ることにした.中華食堂・龍鳳であんかけ焼きそばを注文.腹が満たされ大満足!!今思うと北海道らしいもので〆れば良かったとも思うがこれもまた学生らしくてよい!!
そして小樽イオンでフェリーの長旅に備えて買い出しを済ませ,ただ夜が更けて乗船時間となるのをじっと待った.満を持して乗船し,北の大地を後にする.車両甲板で甲高く鳴り響くやけに調子のいいエンジンをぶつ切りにすると旅の終焉を感じざるをえず,ひたすら哀しかった.
最後に…
振り返ってみると,何もかもが刺激的かつ鮮烈で充実した旅だった.日本中の旅人が目指す北の大地はやはりロマンがあった.この旅を大学生のうちに経験できたことは大きく,私の今の根幹となっていることは間違いない.別に北海道を自転車で回っただとか,日本全国を一周したとか他の人のように偉業を果たした訳でもない.しかし私は私の北海道原付ツーリングができて本当に良かったと思っている.
また旅行とは違って,色んな制約がある旅は常にどこかしら快適さを犠牲にしていたけれど,その分自由度も高かった.毎晩暗いテントで相方と相談しながら天気予報やツーリングマップルとにらめっこ.明日の寝床だとか行きたいポイントを選んでその日その日に決まる旅路に,当時の私は冒険的な何かを感じそれをひたすら楽しんでいた.
短くて儚い夢を見させてくれるのが北海道.この感動を得られるのは最初の一度だけ.どうか私だけでなくこの記事を読んで頂いた貴方にもこの興奮を味わい共感してもらいたいと願うばかりである.
終わり
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